安くて旨い、という言葉がこれほど似合う食べ物もそう多くはないのではないでしょうか。今日ご紹介するのは、大阪は新世界のふもと、ジャンジャン横町の通天閣側の端にある「丸徳」の「ホルモンそば」です。
ホルモンそば
ちょと見ると沖縄そば風ですが、ホルモンは豚ではなく牛(肺と腸が中心だとか)であり、ソバは沖縄そばではなく日本蕎麦です。出汁は牛ホルモンと鰹を中心としており、コクはあるもののしつこくはありません。もちろんホルモンならではの臭さもゼロ。大量に振りかける韓国産の一味は見た目ほどは辛くなく、すっきりとした辛味が楽しめます。そして一杯400円という安さ。
阪本順治監督と赤井英和氏のエピソード
もしかしたら、阪本順治監督のデビュー作であり、元プロボクサーの赤井英和の俳優デビュー作でもある「どついたるねん」の中で、ボクサー役の赤井英和と、トレーナー役の原田芳雄がこの店でホルモンそばを食べているシーンがあったのを覚えている人もいるかもしれません。
阪本順治監督の作品では、他に「王手」(同じく赤井英和が主演)でもこの近辺が描かれていました(ちなみにこの「王手」で描かれていたような将棋クラブも今も存在しています)が、阪本順治監督も、赤井英和氏も、ともにこの「丸徳」のホルモンそばが大好物のようです。下は阪本順治監督のエピソード。
「そうそう、あの店のアレなんか、突然食べたくなることがあるんだよな。特に二日酔いのときなんか。カウンターに置いてあるとうがらしをてんこ盛りにかけてね」と、懐かしそうに、そしてちょっとバツがわるそうに言う。
あの店のアレ、とは、ジャンジャン横町を通天閣側に抜けたところにある「丸徳」のホルモンそばだ。このお店、もともとは沖縄料理をメインにした居酒屋さんだったと思うのだが、いまではすっかり、看板にも書いてある、ホルモンうどん、ホルモンそばの店として有名なのだ。ホルモンうどん・そばってどんなん?っていうと、おつゆをはったうどんやそばの上に、煮込んだホルモン、つまり牛の内臓が乗っているもの。かなりエグそうと思うのは判るが、あにはからんや、意外にあっさりしていて、つゆに溶け込んだホルモンの味と成分が、いいだしになっているのだ。おつゆの色が煮込んだホルモン色でちょっとびびるけど、口に運んでみると、これが結構イケル。
そして下は赤井英和氏のエピソード。
東京で活躍することの多い赤井さんだが「大阪へ帰るとタクシーを飛ばして、思わず丸得に駆け込んでしまう。大阪でしか食えない味で、無性に食いたくなるときがあるんですよ」という。
赤井さんは、中学生のころから丸徳の常連客だった。当時は1杯200円を切っていたそうだ。
(中略)
「赤井さんは一味を山ほどかけて食べるんですよ。いつも、深めにかぶった帽子をちょこっと上げて、ニコッと笑う姿が印象的で。『おっちゃん、元気かあー』と、お客さんにまで声をかけながら入ってくるんです」
昔は体力勝負の労働者らが多く訪れたという丸徳。日本がまだ貧しかった時代から、岸本さんは「長生きしいや。死んだらあかんで」と、自慢のホルモンで元気づけてきた。
安くてスタミナ満点。赤井さんは、丸徳のホルモンそばを多くの仲間に知ってもらいたいと、奥さんや芸能関係者らを連れていった。仲間の感想は「すごい。うまい。安い」。
ホルモンそば – リビングニュース:イザ!
どうです? 食べてみたくなりませんか?
店内の様子
もう少しお店について解説すると、店内はカウンター席のみで、お店は女将さんらしき人物が一人で切り盛りしています。下の写真はカウンターの向こう側の様子。
店内には有線放送で琉球民謡が流れているものの、カウンターの内側は大阪の下町らしい風情で一杯です。
下の写真はお品書き。看板メニューのホルモンそばをはじめとして、沖縄、大阪、韓国がごちゃ混ぜになったようなもの凄い品揃えです。しかしどれも旨そうで、かつ安くて、実にそそられます。
注意事項
なお注意事項ですが、表通りだけなら特に問題ありませんが、この近辺で横道や路地に紛れ込むとかなり危険です。休日の日中や、平日の夕方の早い時間を狙って行くようにし、大通りや人通りの多い道を歩くようにしましょう。また、女性が一人で行くようなことは避け、男女問わず荷物は少なめに、脇に抱えるなどして決して手放さないようにしましょう。洒落や冗談ではなく、マジな話です。
地図と外観
外観は以下のような感じです。