ジムニーJB23のステアリングシミー・ジャダー対策

自動車やオートバイの異常振動で、ステアリングシミーなりハンドルジャダーなりと呼ばれる現象があります。歴代のジムニーにとっては持病のようなものだそうで、どんなジムニーにも発生する可能性があるものなんだそうです。それが、半年ほど前から、ついに僕のJB23/3型のジムニーでもたまに発生するようになってしまいました。

シミーとジャダーの違い

シミーとジャダーはどちらも車両の異常振動ではあるものの、本来は発生原因が異なる別の現象です。ただ、用語としてはわりと混同されることが多いようです。シミーとジャダーの違いを下にまとめます。

シミー
ステアリング装置の異常振動。アライメントやホイールバランスの狂い、タイヤの偏摩耗やキングピンのガタなどが原因で発生する。ギャップを乗り越えるなどの振動をきっかけに、ステアリングが激しく左右に震えて操縦困難になる。今回僕のジムニーで起きたのはこちらの現象。
ジャダー
摩擦による異常振動のこと。ブレーキディスクの偏摩耗やガタなどで発生するブレーキジャダーが多い。ボディーが前後に揺れたり、ブレーキペダルが暴れたりする。より詳しくはWikipediaで。

シミー現象についてわりと体験しやすいのが、80年代半ばくらいまでに発売されたスポーツバイクです。僕の知っているところでは、カワサキGPZ400Rなどは中高速域でステアリングシミーが出るのはほとんどお約束のようなものでした。この頃のスポーツ系のオートバイに乗っていた人なら、体験したことのある人も多いことでしょう。

しかし機構の単純なオートバイのシミーと、油圧パワステのついた自動車のシミーでは、激しさがまったく違います。自動車のステアリングシミーは、足回りで発生した振動がパワステで増幅されるので、振動も音も半端なものではなく、それはそれは恐ろしいものです。ガタガタバタバタと、まさに車が暴れるという感じ。

僕のジムニーの場合、発生は走行速度にはあまり関係がなく、高速域でも中速域でも発生します。発生のきっかけはたいてい、スロットルオフで路面のギャップを乗り越えたとき。その時の振動がそのままステアリング伝わって左右に揺れはじめ、しまいにはパワステが共振してバタバタガクガクとを大きな音を立てながら、壊れそうなほど大きな振動にまで拡大します。これが始まったらもう停車するしかありません。

原因の解明

この症状、発生する原因として考えられることがあまりにも多く、さすがに持病と言われるだけあってなかなか厄介なものです。ざっと調べてみたところ、ジムニーでステアリングシミーを起こす主な原因として考えられるものは次の通り。

  • ホイールバランスの狂い
  • ホイールアライメントの狂い(リフトアップによるキャスター角不足など)
  • タイヤ空気圧の狂い(なぜか高すぎると発生しやすいらしい)
  • ブレーキローターの偏摩耗(ブレーキジャダー)
  • リフトアップによる足回り部品への過負荷
  • 大径タイヤ装着によるバネ下の重量増
  • 強化ブッシュ装着による振動吸収マージンの低下
  • 過走行によるブッシュ類・ベアリング類・シール類の経年劣化(特にキングピン周り)
  • その他、操舵系のガタ・緩み・緩み

僕の場合、上記のそれぞれには該当するものも該当しないものもあるんですが、問題は、考えられる要因をすべてあたっても、直らないこともあるとか。このあたりが、ジムニーの持病と呼ばれる所以でしょうか。

僕のジムニーの場合、サスペンションとショックアブソーバーで45mmほどリフトアップし、空気圧を高めにしたATタイヤを装着していますので、これに関係した原因はあるでしょう。また、車を持ち上げて点検してもガタは見られませんが、総走行65,000kmほどでベアリング類の交換はしていませんので、人間の感覚ではわからないくらいのガタはどこかにあるでしょう。

つまり、シミー発生の要因を特定することが難しいだけでなく、おそらく要因は単一ではなく、いくつかの要因が複合して現象を起こしている、ということだと思います。まあ要するに、原因になりそうなところに手当たり次第に修正したとしても、うまく直ってくれるかどうかは運次第、というような具合なわけです。

ジャダーストップフルキットで対策

ネットでいろいろ調べているうちに、北九州の工藤自動車さんというショップが開発した対策部品がかなりの効果を上げているという情報を発見しました。商品名は「ジャダーストップフルキット」というもので、内訳は下の通り。

ジャダーストップナット
ステアリングロッドを留めるナットを大型のものに変更し、純正より大きな締め付けトルクでタイロッドエンドとナックルの締結剛性を高め、振動の発生を抑える。
ジャダーストップリング
樹脂製の耳がついたリングで、耳の厚さの分だけナックルシールにプリロードを加えることでステアリングを安定させ、振動の発生を抑える。
キングピンシム
上記2点の取り付けでもだめな場合に、シムを入れることでキングピンにプリロードを加えることで、振動の発生を抑える。なお締めすぎるとキングピンベアリングが破損する可能性があるので注意。
純正ナックルオイルシール
純正ナックルシールが傷んでいた場合に交換する。

上記のうち、まずはナットとリングのみ交換してみて、それでもシミーが収まらないようならシムを追加する、というのが推奨の手順だそうです。で、製造元の工藤自動車さんによると、今のところ100%これで直っている、とのこと。これは期待が持てます。

作業内容と効果

ジャダーストップフルキットを入手して、以前に足回り部品を交換したときにお世話になった北山自動車整備工場さんへ持っていきました。この時の作業メニューは次の通り。

  1. ホイールバランスの再調整(異常はありませんでした)
  2. ジャダーストップナットの取り付け
  3. ジャダーストップリングの取り付け

純正シールの交換は行わず、キングピンシムの追加も今回は行いませんでした。キングピンについては、ここまでの対策でジャダーが止まらないようなら、まずはキングピンベアリングを新品に交換し、シムでプリロードを加えるのはその後だろう、という判断です。

取り付け後の写真が次のもの。まずはジャダーストップナット。純正品より一回り大きなナットです。

ジャダーストップナット

次にジャダーストップリング。純正のリングの内側に樹脂製の耳がついたような形状。

ジャダーストップリング

これらを装着したのが10月1日で、それから約200kmほど走行したのですが、今のところシミー発生どころか、発生しそうな気配すら感じません。舗装の荒れた路面を高速で通過しても問題なく、スロットルオフもブレーキングも不安な感じはありません。当面はこれでいけそうです。

気になるところ

今回のジャダーストップフルキットは確かに効果はありましたし、安価な部品ですのでそれも本当に素晴らしいのですが、内容はというとプリロードをかけるだけの部品ですから、車両のバランスが改善されたわけではありません。

今後またシミーが発生するようなら、ベアリング類の交換と併せて、また次の対策(リーディングアームダウンブラケット装着または角度補正済みのリーディングアームへの変更など)を考える必要が出てくるでしょう(より補正量の大きな偏芯ブッシュに打ち換えました)。

まあ自動車は実用品であると同時に嗜好品でもある(むしろ公共交通網が発展した都市部では嗜好品としての側面のほうがウエイトが大きい)わけですから、単に移動手段に使う(実用品としての利用)だけではなく、でっかいオモチャとしても十分に楽しまないともったいない気がします。

その意味では、ジムニーはまさに1/1スケールのプラモみたいな車ですので、不調を克服することも含めて、いろいろと手を入れる楽しみも手軽に味わうことができ、非常に満足度の高い車だと思います。

Jimny JB23-3

今回のステアリングシミーの発生をきっかけに、忘れかけていた楽しみを思い出しました。で、調子に乗って、エンジン周りを中心にいくつかの部品を注文しました。これからしばらくDIYで楽しめそうです。