ジムニーJB23にレカロSR-7とSR-7Fを装着

  • 更新
Recaro SR-7 & SR-7F

僕とJB23ジムニーとの付き合いはもう8年以上になりますが、実用面でも趣味面でも経済面でも、これほど高いパフォーマンスを発揮してくれる車はほかになく、大いに満足しています。しかしドライバーの加齢により、だんだんと運転していて疲労がたまり腰痛が悪化するようになってきました。これらの改善策として、レカロSR-7とSR-7Fを導入しました。

導入の経緯

同じ車に長く乗るということは、その同じ時間だけドライバーも歳を重ねるということでもあります。このため僕の場合も、時間の経過とともに、主にドライバーの変化(老化)に起因する不満が出てきました。具体的には次の二点です。

  • 腰痛(長距離走行時や悪路走行時に悪化)
  • 疲労(左右の荷重移動の大きい峠道で蓄積)

この種の問題は一般的に、車を乗り換えることで解決が図られることが多いようです。それは「オッサンはオッサン臭い車に乗る」というありがちな現象に現れています。この現象はつまり、衰弱した肉体への負担を軽減してくれる車を求めた場合、その結果としてオッサン臭い車が選ばれる、ということなのでしょう。

しかし僕は、そんな消極的な理由で自動車を買い換える気にはなれません。そもそも今のジムニーがたいへん気に入っていますし、乗っている車がステータスの現れだった昭和時代ならともかく、今は倹約や環境保護が美徳とされる世の中ですから、重い車よりは軽い車、大きい車よりは小さい車、新しい車よりは古い車のほうが、より賢い選択というものです。

その解決策がタイトルにも書いたレカロSR-7 SK100の装着です。同時に助手席には座面サイドサポートの低いSR-7F SK100を装着しました。これらのシートは、形状こそセミバケットのスポーツシートですが、レカロのコンセプトどおりスポーツ性能だけでなくコンフォート性能も非常に優れています。

Recaro SR-7 & SR-7F

下の写真は運転席に装着したSR-7で、座面のサイドサーポートが高く、乗降性はちょっと悪いものの、ホールド性は高く、運転席にはぴったりです。

Recaro SR-7 座面

下の写真は助手席に装着したSR-7Fで、運転席に装着したSR-7よりも座面のサイドサポートが低く乗降性の高いモデルです。これは発売されたばかりの新製品で、入荷初日の装着となりました。たぶんJB23ジムニーで一番早く装着したのではないかと思います。

Recaro SR-7F 座面(助手席)

SR-7を選んだ理由

このSR-7とSR-7F、どちらも一脚あたりの定価が税込97,650円(シート本体のみ)と、とても高価なものですから、軽自動車のジムニーには少しばかり贅沢すぎるかとも思いましたが、一昔前を思えばずいぶん安くなった(レカロシートなんて一昔前は庶民には手の届かない超高級品でした)ことを言い訳にして、思い切って購入してしまいました。

そもそも僕のジムニーの乗り心地そのものは、細くて扁平率の低い大径タイヤと、適度に固めた足回りのおかげで、見た目ほどには悪くありません。もちろん高級セダンなどとは比べるべくもなく、どうひいき目に見てもせいぜいコンパクトカー並、といったところに過ぎませんが、とにかく極悪ではないんです。

ただ本体の乗り心地は極悪ではないとはいっても、そこは軽自動車のことですから、純正シートは相応にチープなものがついています。純正シートの良い点といえば、ファブリックの表地の耐久性が高い(7万km弱の走行で破れどころかすり減りすらない)ことくらいで、腰痛や疲労の軽減という観点での不足は否めません。

JB23ジムニー純正シート

ジムニー純正シートは、上の写真の通りごく標準的な形状です。この手の座面は体重が坐骨に集中するので、長時間のドライブや悪路の走行では尻と腰が痛みます。また、上半身のホールドが弱いために左右の荷重移動に弱く、峠道では肘や膝を突っ張ったり、ハンドルにしがみつくような格好になったりと、身体にかなり不自然な力が入ってしまい疲れます。

シートさえ良いものに交換すればこうした問題は解決され、きっと快適性は格段に向上するだろうと考え、シートを選びました。腰痛対策ならコンフォートシリーズシートがよく、疲労軽減ならホールド性の高いスポーツシリーズシートが効果的です。で、店頭で試座したりしつつ大いに迷った結果、最終的に選んだのがコンフォートとスポーツの中間的な性能を持ったSR-7だったわけです。

Recaro SR-7 SK100 Red

取り付けと調整

取り付けはレカロ純正ベースフレームを使用し、とりあえずは前後とも最も低い位置に装着(要ベースフレーム加工)してみたところ、太腿下部のサポートが足りなかったので、前だけ一段高い位置に再調整し、座面高さの調整は完了。ヒップポイントは純正時よりも少し上がりました。

あとは前後位置とリクライニングの調整ですが、これは基本どおりに行いました。腰痛対策も疲労軽減も、最小の負担で運転の操作ができる正しい乗車姿勢があってはじめて活きるものです。むしろこれがきちんとできていないと、せっかくのレカロシートが台無しです。

  • 前後スライドの調整は、シートに深く腰掛けた状態でブレーキペダルを深く踏み込んでも膝に余裕がある位置に調整します(かなり前に出るはずです)
  • リクライニングの調整は、シートバックにべたっともたれて、肘に余裕を持たせつつステアリングの頂上付近を握ったときに、ショルダーサポートと肩が軽く触れるくらいの位置に調整します(かなり立った状態になるはずです)

もちろんですが上記は運転席の話で、市街地や街道、高速道路などでは、助手席はもう少しゆったりできる体勢をとったほうが楽かもしれません。とはいえ峠や林道を走るような場合には、助手席も運転席と同様にシートバックを立て気味に調整して、足を踏ん張りやすいようにしたほうが疲労が少ないのは間違いないでしょう。

レビュー・感想

セッティングが済んだら、いよいよシェイクダウンです。嬉しさも手伝って、高速道路を30kmほどと、峠道を中心に一般道を80kmほど、合計110kmほどを一気に走ってきました。感想はというと、いやもう凄いのなんの。これは病みつきになります。最高としか表現のしようがありません(追記:その後数万km走って感想は変わっていません)。

まず座面ですが、腿から腰までを包み込むように面で支えてくれるため、支える体重がうまく分散し、坐骨のところだけが痛くなるようなことはありません。同じ理由で腰の負担も小さくなり、従来とは比較にならないくらい腰痛も楽になりました。こんなに快適だと、腰痛との付き合いが続く限りレカロとの付き合いも続けざるを得ない感じです。

そしてシートバックですが、SR-6よりはかなりゆったりとしたホールド性であるにもかかわらず、ジムニーが横転しない程度の横Gなら、ショルダーとサイドのサポートがすべて吸収してくれるため、力を抜いた状態でも身体が左右に振られることはありません。普段はゆったりでも、Gがかかると仕事をしてくれるという感じで、まさに快適そのもの、疲れ知らずです。

ただ、良いことばかりではありません。悪い点もあります。今のところ感じている悪い点を挙げると、次のようになります。

  • バックしにくい。ホールド性が高いせいで上半身を振り返らせるのが難しくなったことに加えて、ヘッドレスト一体型の巨大なシートバックが邪魔をして、振り返ったときの視界が狭くなってしまいました
  • 乗降性が悪い。もともと車高の高い車をさらにリフトアップしていることに加えて、座面のサイドサポートが高くなったことで、乗り降りがかなり困難になってしまいました(アシストグリップの移設で改善
  • 見た目が派手。僕は山道を走ることが多いのでスポーツタイプのシートバックを備えたものを選びましたが、このシート形状はいかにも走り屋ふうで派手であり、外からは見えにくい部分であるとはいえ多少の気恥ずかしさを感じます

これらはいずれも事前にわかっていたことなので、まあ納得はしているのですが、すべてにおいて完全なシートなんてあり得ないんだなあ、ということを実感しました。前に向かって走らせるという最も重要かつ長時間にわたる場面での性能は素晴らしいので、その他の問題点には目をつぶることにします。

そんなこんなで、課題だった腰や尻の痛みと峠道での疲労は劇的に改善されました。運転時の腰痛や疲労といったお悩みを持っている方がいたら、レカロシートへの交換を検討してみるのも良いかもしれません。LX系あたりを選べば、僕が悪い点として挙げたような点もほとんど気にならないはずです。

まとめ

自動車が本来持っている性能を十分に発揮させるという意味でのチューニングにおいて、シート交換ほど効果的なものはない、という話はよく耳にします。自分で体験してみると、これはもう事実であるとしか言いようがありません。やはりシートやペダルやステアリングホイールといったマンマシンインターフェース、とりわけシートの重要性は非常に高いものがあります。

自動車が安定的に性能を発揮し続け、またドライバーもその技術を安定的に発揮し続けるためには、ドライバーの疲労が少なく、正しい運転姿勢を無理なく保ち続けられることが何よりも大切です。また、上下にも前後にも左右にもGのかかる四駆であれば、シートのホールド性ほど大切なものはないと思い知りました。もしこれから何か自動車のチューニングをお考えの方がいるなら、レカロSR-7は本当にお勧めです。