原発銀座ツーリング

先月のことですが、金沢でセミナーの仕事をした帰り道、福井の原発銀座と呼ばれているエリアのうち、敦賀半島の先端部に集中している3施設(敦賀原発、美浜原発、高速増殖炉もんじゅ)を巡るツーリングをしてきました。若狭湾に突出する敦賀半島は、全国的には原発半島として知られていますが、その一方で極めて優れた景観美を誇っており、ツーリングやドライブのスポットとして知られているほか、海釣りや海水浴場としても賑わう一大観光地帯なんです。

素晴らしい景観だけど正面は敦賀原発

目的地

目指した場所は下の地図の通りで、まず北東部の敦賀原発を目指し、つぎに西部の美浜原発、最後に中央の高速増殖炉もんじゅ、という順で回りました。地図上の位置関係で見ると、敦賀原発→もんじゅ→美浜原発、というルートが最短に見えますが、そのように巡る道がないために、上述のようなルートをたどりました。

フェリー港で知られる敦賀市街から敦賀半島東岸の県道141号線を北上していくと、海上には養殖筏が次々に現れます。これらの筏ではタイやトラフグ、ハマチなどが養殖されているとかで、なかでも若狭フグは日本最北のトラフグとして有名です。敦賀湾は関西ではよく知られた豊かな漁場です。

敦賀原発前の海

養殖筏が並ぶ

海岸近くまで行くと、ますますその美しさに目を奪われます。西行や芭蕉が歌に詠んだ色浜です。往時の寂しさは感じられませんが、ともかくも美しさは第一級です。

敦賀原発近くの海岸

  • 潮染むるますほの小貝拾ふとて色の濱とは言ふにはあるらん(西行 山家集)
  • さびしさやすまに勝ちたる浜の秋(松尾芭蕉 奥の細道)

なんというか「色浜」とはよく名付けたもので、この美しさは西行や芭蕉の頃から変わっていないのかもしれない、などと思わされます。

エメラルドグリーンの海

しかし、上に貼った2枚の写真、画面中央上部に妙に巨大な施設が映っていますが、これを西行や芭蕉が見たらどう思うのか、という点は気になります。

そうこうしているうちに敦賀原発に到着。しかしおそろしく警備が厳重で、写真の撮影すらままなりませんでした。ゲート前にバイクを駐めれば警備員が何人も飛び出してきて私有地だから進入禁止だと言われ、路上にいても、施設に次々と出入りするバスに乗った作業員たちの視線に晒される、という具合。

敦賀原発の施設の近影としては、結局撮れたのは下の写真のみ。画面右上に円筒形の原子炉建屋が見えます。この先、美浜原発と高速増殖炉もんじゅを巡りますが、原発施設の近影写真の撮影はほぼ同様の厳しさでした。というか、美浜ではゲートの写真すら撮れず、もんじゅはゲートから先が遠すぎて施設本体は撮影できませんでした。

敦賀原発ゲート前

この時の僕の姿は、どう見てもツーリング中のライダーにしか見えなかったはずで、そう怪しい風体ではなかったはずです。それでも、敷地外の路上から施設をゆっくり眺めたり撮影したりということすら許されない感じ(明確に禁止されてるわけではないのに)で警備員が出てくるのには閉口しました。まあ時節柄ピリピリしていただけだろう、と思いたいところです。

気を取り直して、県道141号線を敦賀原発を行きすぎ、立石海水浴場のほうへと向かいます。地図では半島を周回する道路は見あたらなかったものの、実際に行ってみればもんじゅの裏手に通じる道路があるのではないかと考えたのです。

すると見えてきたのが、浜や磯への立ち入りを禁じる立て看板が立ち並ぶ風景。美しい風景と、それにそぐわない緊張感のある看板のコントラストは、ちょっと異様な感じがしました。その看板が下の写真。県道のほうも、結局は立石岬の手前で行き止まりでした。

立ち入り禁止

道路が行き止まりだったことで、仕方なく来た道を縄間まで引き返し、今度は県道33号線で半島を横断し、美浜原発へと向かいます。33号線の終点(起点?)にあたる西端は、日本の渚100選に指定されている水晶浜です。美しい海岸線の風景に心癒されます。

水晶浜の全景

上の写真と同じ場所から撮影したのが下の写真。画面中央に円筒型の原子炉建屋が二基ほど見えるかと思います。驚いたことに、美浜原発は日本の渚100選の水晶浜海水浴場に隣接していました。

湾越しに見る美浜原発

浜の端の方にバイクで降りられる場所があったので、浜に入ってみました。

美浜原発近くの水晶浜

ここから美浜原発は、下の写真のように見えます。

美浜原発建屋

さらに美浜原発に近づくと、下の写真のような標識が現れます。原発銀座の密集ぶりがよくわかるかと思います。なお下の写真には案内がありませんが、この標識の地点から美浜原発を行きすぎて4kmほどで、高速増殖炉もんじゅの敷地ゲートがあります。

密集ぶりを示す標識

厳重な警備体制が敷かれた美浜原発のゲート付近では撮影をあきらめ、もんじゅへと向かいます。が、もんじゅの敷地はかなり特殊な、いわば要塞のような作りで、ゲート付近からは施設はまったく見えませんでした。

白木集落の東端に施設ゲートがあるのですが、そのゲート向こうに900mのトンネル(もんじゅトンネル)があり、主要施設はその向こうにあるという配置。ゲート付近からは、もんじゅ主要施設は山に遮られてまったく見えません。下にその見取り図を示します。僕が行けたのは地図左下のゲートまでです。

そのゲートの様子が下の写真です。

もんじゅのゲート前

帰り道の琵琶湖にて

この日はもんじゅのゲートを見たところで帰路についたのですが、帰り道に琵琶湖西岸の湖畔に出てみました。それが下の写真。静かな湖面におだやかな風が吹き、とても気持ちのよい休憩ができました。

琵琶湖西岸

現在の琵琶湖の水はかなりきれいなもので、なんかもう、そのまま飲めそうなくらいでした。高度成長期の琵琶湖しか知らない人が見たら、驚くこと必至です。

琵琶湖の湖水

この琵琶湖から流出する唯一の河川は、瀬田川、宇治川、淀川と名前を変えながら京都府と大阪府を流れて、最終的には大阪湾に注ぎます。関西の水瓶として市民の生活や産業を潤している琵琶湖は、原発銀座からわずか20km少々しか離れていません。