IT業界でライターになるために必要な3つの条件

本を出版する、とか、雑誌に記事を寄稿する、とかいうと、何か特殊な人々が、特殊なスキルを使ってやっていることのように思われがちですが、現実のところはそうでもありません。特別な教育などは受けていない僕ですら、うまくやれば数え切れないほどの仕事に恵まれることができます。今回は「 IT業界でライターになるために必要な3つの条件」と題して、ライターになるために必要なことについて書いてみたいと思います。

1. 特定分野に特化した知識と実務能力がある

特定分野に特化した知識と実務能力などと言っても、ハードルはそれほど高いわけではありません。なぜなら、書店で流通している書籍や雑誌の多くは初心者向けですので(そうでないとターゲットが限定されすぎて売れない)、上級者を唸らせるような知識や実務能力はなくても大丈夫なんです。

むしろ、特定分野に特化した知識と実務能力が問われるのは企画段階の話で、出版企画が通るかどうか、というシーンで知識や実務能力がものをいうわけです。それにしたところで、中級者程度の知識を初心者向けに解説できるか、という点が重要視されますので、やはり高度な知識や実務能力は必須ではありません。

2. 日本語で長い文章が書ける

日本語で長い文章が書ける、というのは IT 系ライターにとって重要な要素です。出版前には編集が入りますから、文章の上手下手は(あまりにもひどい場合を除いて)あまり問題ではありません。僕の文章でも本になる程度のものですから、文章力はIT業界でライターになるために必須の条件というわけではないのです。

日本語で長い文章が書けることが必要、といっているのは、この業界の常として、HTML や Perl なら美しいコードを何万行でも書けるのに、言語が日本語になったとたんに原稿用紙2枚とかでもまともに書けない人が多すぎるからです。当然ですが、ライターにとって最も重要な言語は日本語です。ここがおろそかだと、ライターにはなれません。ライターになりたい人はブログでも書いて、日本語力を鍛えることからはじめましょう。

3. 編集者・ライターとのコネクションがある

ここまで挙げてきた条件の中では、この条件が最も重要です。出版の業界というのは非常に狭い世界で、多くの場合、実績のあるライターを複数社の編集者が奪い合っている、という構図が一般的です(特に弱小編プロの場合)。大手出版社であれば、新規にライターを開拓するようなこともしますが、これに引っかかるためには余程の名声なり実務上の実績なりがないと難しいでしょう。

多くの場合、新しい本や雑誌の企画が持ち上がったときにライターとして抜擢されるのは、以下のような人々です。

  • どこかの媒体で何か書いたことがある
  • 実績のあるライターに推薦してもらえる
  • 自分で編集者に売り込めるような人脈がある
  • テレビや新聞、雑誌などのメディアに取材され、記事や番組が配信されたことがある

しかし、こうした実績やコネクションのない人でも、ライターになる手段がないわけではありません。今なら、インターネット(特にブログ)を使って編集者にアピールできるからです。現在では、新聞や雑誌の記者や編集者も、ネタ探しにインターネットを活用しています。もちろんネタ探しの後は、記者なら裏取りや取材をしますし、編集者なら情報発信者にコンタクトを取る、といった具合でアプローチの方法は異なりますが、いずれにしても、ブログなどインターネット上で目立つ存在になれば、ライターへの道は開かれます。

もちろん、ネット上での情報発信と、先に紹介した「1. 特定分野に特化した知識と実務能力がある」や「2. 日本語で長い文章が書ける」とを複合的に活用してアピールすれば、デビューの機会がよりいっそう高まることはいうまでもありません。