オフロードレースの最高峰である Baja 1000 (とは言っても日本ではマニアにしか知られておらず、わずかにホンダのXRシリーズのXR Bajaや、以前にMUGENから発売されていたBaja Commander Kit などで知られているのみですが)をテーマにした映画「Dust to Glory」を見てきました。
Baja(バハ) 1000 とは、パン・アメリカン・オフロードシリーズの最終戦で、1,000マイル(約1,600km)を2輪4輪が混走しノンストップでゴールを目指すという過酷なもので、世界最長のクロスカントリー・レース(ラリーじゃなくてスプリントレースですよ!)として知られているものです。世界のトップレーサー1,200人が参加し、20万人もの観客が訪れる世界最大のオフロードの祭典、Baja 1000。
映画は、50台以上のカメラと90名のクルーを投入し、レースを走り抜きながら撮影したというたいへんなドキュメンタリー映画です。そして、レースのハードさもさることながら、その撮影や編集のハードさでも、映像制作や編集に関わる業界をも驚かせました。以下の各記事が参考になるでしょう。
- 映画「Dust to Glory」 – 1,600kmレースと4,200時間編集、どちらがタフか?(Mycomジャーナル)
- 1600kmに渡る荒野を駆け抜けるレースを多種多様な60台のカメラが撮り続けた入魂のドキュメンタリー映画“Dust to Glory”アドビのHDポストプロダクションでマルチフォーマットの映像編集をこなしたブラウン監督と主演/プロデューサーの“マウス”マッコイ氏に独占インタビュー(アスキー24)
- Adobe Premiere Proが「Dust to Glory」(IFC Films配給)においてHDによる次世代の劇場用映画制作を実現(アドビプレスルーム)
映画の内容については、産経MOTO CC「DUST TO GLORY」が参考になるでしょう。そして必見なのは下の予告編。これはとりあえず見て欲しいです。
さて、観てきた僕の感想ですが、もう大興奮の一言に尽きます。「世界一狂ったレース」と言われる Baja 1000 の迫力と、レーサーやクルーたちの狂気に近い情熱などが余すところなく伝わってきて、本当に素晴らしい映画でした。技術的なナニとかの事前に知っていたことも吹き飛んで、ただただ画面に見入ってしまいました。
32時間を上限(つまり給油や修理にかかる時間も含めたアベレージスピードが 50km/h 以上)に競われるレースですが、トップのチームは1,000 mile(約16,00km)をたった16時間ほどで走り抜き、ビートルのノーマル車両で走り抜くCLASS 11(Stock VW Sedans)は32時間以内での完走を目指すなど、見所は満載で、その世界にどっぷりと浸り込んでしまいました。本当に最高でした。まさに全編がアクションビデオそのままの90分です。「またオフロードのバイクが欲しい」と心から思わされました。
試写会を見た人たちの感想は以下の通り。興奮ぶりが伝わるかと思います。
自分の可能性の限界はどこにあるのか・・・挑戦することから生まれてくる人生の到達点。この映画を見て明日からまた自分に挑戦状を叩きつけよう!!
─── 照英(俳優)老いも若きも、真剣でクレイジーでハングリーでたくましくて勇敢なレーサー達にしびれます。
─── 水野裕子(タレント)バハの1000マイルを知っている人間とそうでない人間との間には、夢の大きさ1つ分の距離がある。この映画は、その距離を全速力で縮めてくれる。
─── 藤代冥砂(写真家)デートんときはやめとこう。僕だけ泣くのはずかしいもん。
─── 甲本ヒロトスピード・砂・太陽。バハを全力で走り抜けるということはシンプルだが、この上なく凄まじい。
─── 大鶴義丹(俳優・作家)埃の中の誇り。タフでクールでキュートな、本物の「チョイ悪オヤジ」達に大感動!
─── 清水圭(タレント)映画の中でバハについて語ってるおっさん達の純粋な目を見てください。青春って年令やないんやなぁと確信できますから。
─── 田村亮(ロンドンブーツ1号2号/芸人)人間、自然、情熱、生命。生きるって素晴らしい。これ、本気で出たい、本当に。
─── AIR(ミュージシャン)長い道のりに描かれる一本の線。人間誰もが持つ冒険心に火が灯り、燃えつきる姿が本当に美しかった。
─── 堀内尚子(ラジオDJ)Endless Summer, On any Sundayと僕の大好きなドキュメンタリー映画を作っているブルース・ブラウン監督の息子デイナ・ブラウンが手がける映画と聞き楽しみにしていました。世界一過酷と言われているパリダカに僕は参戦しますが、この映画を見た後いづれかチャレンジしようと思っていたBAJAに出場する勇気が無くなりました。今のBAJA1000は正に世界一狂ったレースです。
─── 桐島ローランド(フォトグラファー)父から子へ受け継がれる冒険。絶対にあきらめない精神力。参加する者全員がヒーロー。感じてください、レースの美しさを。
─── クリステル・チアリ(タレント)観客を過酷なレースの真っ只中へと引き込むKick Ass ドキュメンタリー!
─── バラエティデイナ・ブラウンの新作はまさに情熱の産物だ!
─── ニューヨークタイムズ
しかし残念なのは、上記のページの下のほうにもあるとおり、全国ロードショーとは言っても今日の時点では上映館はたった7館だけで、しかも上映期間は僕が行ってきたMovix堺の場合で1日2回上映の4日間だけ、という少ないもの。これを劇場で見ることは非常に困難だと思います。劇場で観れた人はラッキーですね(僕含め)。制作は
2004年の映画ですからDVDなどもあるかなと思って調べてみたらありました(ダスト・トゥ・グローリー プレミアム・エディション)。しかし、これはやはり、劇場の大画面と大音響で観ないともったいない気がします。まだ間に合うという方は是非、劇場に足を運ばれることをおすすめします。