旅情あふれる夜行寝台急行列車「銀河」

東京大阪間の移動といえば、新幹線にしても高速道路にしても飛行機にしても、どうしても仕事っぽい印象になってしまい、旅情などは感じられないもの。しかし寝台急行「銀河」を使えば、旅情あふれる旅を味わうことができます。

初めて乗車したいきさつ

東京で新幹線の最終電車に乗り遅れ、思い立って夜行寝台急行列車「銀河」に初挑戦することに。

初めての寝台車ですが、車内販売などがないことは事前に聞いていたので、缶入りのウイスキーの水割りや夜食のサンドイッチなどを買い込み、ホームへ。ホームは東京駅9番ホーム、普通の東海道本線のホームです。そこで「銀河」と初対面しました。

車内と寝台の様子

僕が乗ったのはB寝台の喫煙車両。車内に乗り込むと、通路に垂直になる形で二階建ての寝台が並んでいます。喫煙車両は通路に灰皿が設置されていて、そこで休んでいる人の姿も。

寝台は二階建てで、下の写真は一階の寝台。一階部分は座席そのものです。

下の写真は二階で、今回僕が利用したのはこの二階の寝台です。二階部分は折り畳み式ですが、剛性感は高く、不安な感じはありません。

寝台に敷くシーツ、シーツにくるまれた肌掛け、枕、そして「浴衣」が用意されていて、いかにも旅情あふれる風情です。ただ、別に快適であるとかそういうことはなく、横幅は70cmと狭いですし、縦は195cmあるとはいえ身長178cmの僕が荷物を置くと余裕はありません。

下の写真は寝台の枕元にある灯りで「寝台使用中は禁煙」の表示がまた昭和っぽくていい雰囲気です。

基本データ

この列車の基本的なデータは以下のような感じです。

  • 23:00東京発、翌7:18大阪着(所要時間8時間18分)
  • 乗車運賃:¥8,510-、急行料金:¥1,260-、寝台料金:¥6,300-(合計¥16,070-)
  • B寝台上段のサイズは長さ195cm×幅70cm×高さ95cm

料金は新幹線よりも高く、所要時間は高速バスと同程度かかるため、これに乗車するメリットは正直ありません。よほどの物好きか鉄道マニア以外は敬遠するでしょう。

非日常を味わう

東京大阪間の移動は、新幹線でも飛行機でも、いかにも仕事か出張という雰囲気で、実際に旅行だったとしても旅行気分は味わいにくい区間です。しかし浴衣に着替えて缶入りウイスキーを飲んだりしていると、まさに気分は旅行。東京大阪間の移動とは思えません。さすが寝台列車は風情が違います。

周囲の乗客もやはり普通の感じの人はおらず、妙な具合でした。僕と同じく新幹線の終電に乗り遅れた風情の酔客もいますが、そこで銀河を選ぶというのはちょっと変というか、普通ではない感じがします。あとはまあ、正体不明のおじさんばかり。

下の写真は、缶酎ハイを飲みながら文庫本を読んでいたおじさん。一体普段は何をしてる人なんだろう?

ともあれ、通路にはちょっとした腰掛けがあり、飲み物を置いたりできる台があり、手を伸ばせば灰皿もあります。東京大阪間の移動でこういう風情を味わえるのはとても面白く、きっとこのおじさんもこういう風情を楽しむタイプの人なんだなあ、などと、勝手に親近感がわいてきます。

寝台車の利用によって、東京大阪間の移動という日常が、非日常へと変わります。浴衣を着て、寝台に揺られて、8時間以上もかけて移動するのが東京から大阪という非日常性は刺激十分。これからも時々体験したいと思わせる、良い体験でした。

#この後僕はすっかり銀河が気に入ってしまい、最終的には3回乗車しました。2008年3月15日のダイヤ改正で廃止になってしまったのは残念でしたが、とにかく乗れたことには満足しています。

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