寝ずの番

寝ずの番」を観てきました。マキノ省三を祖父に、マキノ雅弘を叔父に持つ津川雅彦が、マキノ姓を襲名し、三代目マキノ監督「マキノ雅彦」としてメガホンをとったというこの映画。この映画にはヌードのシーンも暴力的なシーンも一切ありません。残酷なシーンもなし。なのにR15指定。セリフが終始、ひたすら下ネタの連続なんです。これは確かにR指定、テレビなどの電波に乗せても「ピー」の連続でストーリーを追えなくなるでしょう。映画自体、よく作れたものだと思います。あり得ないほど下品で、それはそれはものすごかったです。ちなみに読んでいませんが原作は中島らもだそうです。

物語は、今や絶上方落語の大師匠、笑満亭橋鶴(モデルは故 笑福亭松鶴師匠だそうです)の臨終から始まるのですが、まあ物語はどうでもよくて、これでもかとばかりに艶笑話、不謹慎ネタ、戯れ唄や替え歌などが繰り返され、豪華キャストの怪演もあいまって、異常な世界観が表出するところが見ものです。物語の展開は単調ともとれなくもないかもしれませんが、見どころは、物語の展開などではなく、一つ一つのネタの面白さと、それらが織りなす異常な世界観でしょう。視聴後には何ともいえない妙な余韻が残ります。

笑える映画ではあるものの、笑いはブラックとエロですので、普通のコメディではありません。並のキャストが演じるのであれば単なる下品な映画となるのでしょうが、主演の中井貴一や師匠役の長門裕之をはじめ、一番弟子役に笹野高史、師匠の息子役に岸部一徳、橋太の嫁に木村佳乃、おかみさん役に富司純子、師匠の恋敵役に堺正章、といった具合でクセのある役者が揃っており、おかしさがこみ上げるようないい仕上がりになっています。

近くのMovixでワンコイン(500円)で観られるというので行ってきたのですが、とても満足、面白い映画でした。劇場で見られてよかったです。ただ一つ気になったのは、上方落語界が舞台になっているにもかかわらず、ほんの時折ですがインチキ関西弁が耳に障る(繰り返しますがほんの時折だけです)こと。これは残念でした。大人の笑いにあふれた映画ですのでご家族での視聴には向きませんが、堺の映画館では、中年から初老のご夫婦らしき人々が笑い声を上げながら観ていたのが印象に残りました。

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