先日お知らせしたサイト売却を検討している件ですが、思いのほか反応が良く、当日と翌日の2日間で早くも4件のお問い合わせをいたきました。この連休中にもさらにお問い合わせをいただいています。僕自身は思いつきで動いたような感じだったのにもかかわらず、お問い合わせを複数いただけたのは、本当にありがたいことです。
また、お問い合わせしてこられた皆さんの熱心な姿勢に触れたことで、僕の心境も大きく変化してきました。僕が作ったサイトを高く評価してくれる方々に対して、僕がいい加減ではまずい、と身の引き締まる思いがしています。
いただいたお問い合わせの内容ですが、すべてのお問い合わせに、まずは参考価格を知りたいという内容が含まれていました。当然だと思います。僕は基本的には、価格は需要で決まると考えているのですが、そうは言っても買い手からすれば目安があったほうが検討しやすいのは間違いありません。
そこで、目安となる参考価格を出す前の段階として、サイトの現在価値を試算してみました。方法は次の2通りです。
- サイトのセッション数から算出
- 被リンクの価値から算出
以下、それぞれについて見ていきます。
1. サイトのセッション数から算出
下の画像は、サイト(searchengineoptimization.jp)のGoogle Analyticsデータのスクリーンショットで、対象期間は2009年の1年間です。

まずはこのデータから読み取れる当該サイトの特徴について簡単に説明します。
- セッション数に対してPV数が多い
1セッションあたりのPVが高く、直帰率は低くなっています。一般的なサイトと比べてかなり優良なトラフィックを集めていると考えて良いと思います。 - 検索エンジンからのトラフィックの割合が小さい
検索エンジンからのトラフィックは128,773セッションと決して少なくはありませんが、参照サイト(被リンク)からのトラフィックはそれを上回っており、さらにそれをノーリファラ(ブックマークなど)が上回ります。これは極めて高い人気とリピーターを保持していることを示していると考えて良いと思います。
さて、上記を踏まえて価値を試算します。元になる数字は、1年間で記録された518,289セッションです。これに新規セッション率の30.05%を掛けると、1年間で得た新規セッションは155,746となります。この新規セッションの部分のみをCPC 500円のPPCで獲得したと仮定した場合、年間コストは77,873,000円となります。この2年分をサイトの価値と考えると、その総額は155,746,000円、およそ1億5千万円です。
実際のPPCによる集客は新規セッションに限りませんので、新規セッションに限って試算している時点で、この試算はかなり控えめであるはずです。また、一般的な商用サイトの新規セッション率はおよそ70〜90%くらいが標準的ですから、新規セッション率を30.05%として計算していることも、この試算をかなり(およそ半額から1/3程度に)控えめな金額にしていると思います。
2. 被リンクの価値から算出
下の画像は、サイト(searchengineoptimization.jp)全体の被リンク数を米Yahoo! Site Explorer で調査したデータのスクリーンショットで、調査日は2010年1月9日です。

このデータによると、ディープリンクを含めてサイト全体で受け取っている被リンク数は123,442本となっています。この項では、この数字を元に価値を試算します。
まずはオーガニックな被リンクの価格を仮定しますが、そもそもオーガニックな被リンクには値段がついていませんので、それに近い性質の被リンクを受けられるものとしてPayPerPostキャンペーンのコストを参考にします(PayPerPostはPaidLinksの一種とみなされることも多いので比較するのもおかしな話ではありますけれども)。
そのPayPerPostのコストですが、単なるコピペではない良質な記事(および被リンク)を獲得するための仕組みとして、最近では「体験プログラム」というものが主流になりつつあるようで、例えばA8 アクションBuzzにあるこのキャンペーンやこのキャンペーンのように、驚くほどのコストのかかっているものが多くなっています。
これらの例からもわかるように、良質な被リンクを獲得するというのは、極めて高いコストが必要であることがわかります。ただ、上記の例のように1リンクのコストを数千円から1万円超もの金額で計算すると、売却対象サイトが保持している123,442本のバックリンクの価値は天文学的になってしまい、現実的ではありません。
そこで、ここでは仮に、被リンク1本あたりの価値を1,200円と見積もります。この1200円という数字は、PayPerPostネットワークを経由して最終的にブロガーに1,000円程度の手数料が支払われる場合を想定したものです。この計算では、単価1,200円に被リンク数123,442本を掛けて、サイトの価値は148,130,400円、およそ1億5千万円です。
なお、このサイトが保持している被リンクは、前項「サイトのセッション数から算出」に掲載したGoogle Analyticsのデータにあるように、年間145,826セッション(およそ790,377PV相当)という実トラフィックの流入をともなう被リンクですので、そもそも提灯ブログからのリンクと比較できるようなものではありません。
さらに、A8 アクションBuzzにあるキャンペーンはどれも募集数が100から1,000程度にとどまっており、この方法では12万を超えるような被リンクを獲得するのは事実上不可能であることや、実際には8年もの年月をかけて自然発生的に増え続けた被リンクであることなどを加味すると、この試算もまた控えめな金額となっているはずです。
でも現在価値が参考価格ではないです
上述のように2種類の方法で算定してみたところ、僕の試算ではおよそ1億5千万円程度がサイトの現在価値であるという結果になりました。僕はサイト売買に関わった経験がなく、相場も知りませんので、試算がこれでよいのかはわかりません。しかし自分としては、かなり控えめに見積もったつもりです。
ただ当然のことながら、この現在価値がそのまま参考価格に、ひいては売却価格になるわけでもありません。というのも、買い手の立場でサイトの買収を考えるなら、それは事業上の投資にあたるので、買い手側は次の3点を重視してしかるべきだからです。
- 将来にわたって価値が増大する余地がどれだけあるか
- ビジネスにどのような競争優位性が付加されるか
- 現在価値に対していかに安く購入するか
まず価値が増大する余地についてですが、これについては、数倍から数十倍に成長する余地がある、と断言してよいと思います。というのも、現在価値の算出に使ったPVなどの数値は2009年のものですが、これは2007年の数値よりもおよそ35%ほど低下しています(PVの推移については前回のエントリで触れました)。
これはコンテンツが古くなってきたことや検索順位が下がってきたことによる自然減ですので、譲渡先企業がコンテンツのアップデートや追加を行うだけで即時に回復するでしょうし、現在の最新のSEO施策(SMOなども含めた)を実行すれば、さらにセッション数やPV数を数倍から数十倍に成長させることは容易であると考えられるためです。
次に、サイトの買収によってどのような競争優位性が付加されるか、ということについてですが、期待できる競争優位性については次の3点を挙げておきます。
- 買収すれば即時に、SEOにターゲットされたトラフィック(しかも成長余地が大きい)年間518,289セッション、2,810,043ページビューが、既存サイトのトラフィックに追加されます。このトラフィック増加分にともなって得られる収益が、現在の収益に積み増しされます。
- 当該サイトはおよそ8年の歴史を持っているため、これを買収すれば、即時にSEO黎明期からの8年分の仕込みをショートカットすることが可能になります。またこれは競合他社に対しては、8年先んじることを意味します。
- 自社で買収すれば即時に、競合他社に買収された場合の機会損失をゼロにすることができ、また同時に、他社が買収すれば他社が得たであろう機会もゼロにすることができます。
次に、現在価値に対していかに安く購入するか、という点ですが、これは僕がディスカウントするしかないでしょう。僕が提示するのは、現在価値の1/3にあたる5千万円をディスカウントした金額、1億円です。この金額は、現在までにお問い合わせをくれた各社にはすでにお伝えしてあります。
ですので、購入をご検討中の方は、僕がおよそ1億円くらいでの売却を考えていることを踏まえて、ご連絡をいただけると助かります。ただし、後述する通り、この1億円という額は状況に応じて上下する可能性があります。
参考価格がそのまま売却価格でもないです
冒頭でも述べたように、僕は基本的には、売却価格は需要で決まると考えています。つまり、参考価格は提示したものの、購入を検討してくれているすべての会社がその金額では買えないという判断でしたら価格は下がりますし、もっと高くても是非ほしい、という判断の会社が現れれば価格は上がる可能性もあるということです。
とはいえ、これはオークションではありませんので、値付けだけで落札者が決まるというようなものでもありません。僕としては、譲渡後もきちんとした運営をしてくれるような会社に買ってほしいので、単に高値を打診したら落札できるというようなことではなく、譲渡後のこともよく相談した上で譲渡先を決めたいと思っています。
売却を検討しているサイトは僕にとってはとても愛着のあるサイトですし、何よりも、当該サイトにはすでに固定のユーザーが多数ついています。毎日のように使ってくれている人も大勢います。僕としてはできるだけ、そういうユーザーを大切にしてくれる企業に運営を任せたいのです。
コンテンツをアップデートしたり、新しい情報を頻繁に追加したりというのはもちろん、できたらユーザーと双方向のコミュニケーションを図ったり、ユーザー発の情報を共有したりといったような、手間を恐れて僕が手を付けられなかったようなことに挑戦できる企業だったら、さらに理想的だと思っています。
当該サイトは今までは僕一人による運営で、しかもここ数年はほとんど何も手を付けていないという状態です。今後それなりの人手をかけて運用してもらうことができれば、ユーザーにとっても運営する企業にとっても、今の何倍、何十倍もの価値が生まれるでしょうし、今よりもずっと多くの人や企業に貢献できると思うのです。
最後に本音を言うと
このエントリではここまで長々とお金の話をしてきましたが、やっぱりお金の話は難しいです。正直言って僕は、自分の成果物の価格を見積もったり請求したり、というようなことがどうにも苦手で、どうしても安く見積もってしまう傾向があり、高い見積もりを出すのは神経を使います。
今回のこの件だってそうです。本心をいえば、もっとずっと高い値段がついてもおかしくないと思ってるのに、根が貧乏性であるためか、安め安めに見積もってしまう。1億円なんて、ちょっと優秀な人を何人か雇って研究みたいなことをやらせたら、1年かからずに吹き飛ぶ金額です。
それに引き替え僕のサイトは、SEOという言葉を知っている人が日本にまだ数えるほどしかいなかった頃から公開していて、ツール類も日本で最初に開発して、SEOの周知や業界の成長に最も大きく貢献したサイトです。そして今も、上場企業でも単独では追いつけないほどの圧倒的なトラフィックを集めています。その価値はいかばかりか。
SEM関連の上場企業の決算を見ると、年間売上高は数十億円から百億円程度と大きいですが、リスティング広告の割合が高いためか、売り上げ規模の割に営業利益はそう大きくありません。利益率の高いSEO事業を伸ばすことはおそらくどの企業にとっても共通の課題でしょうから、その意味でもSEOに強みを持つ今回のサイト売買は、相当に魅力的であるはずです。
そういうことはわかっているんですが、でも一方で僕には、築50年の公団の分譲に住んで10年落ちの軽自動車に乗っているという慎ましい一人社長としての金銭感覚も同時にあって、遠慮してしまうというか、腰が引けたような感じになってしまうんです。どうせ4割は税金で消えるのに、何を遠慮することがあるものかとも思いますが、長年染みついた感覚はどうにもなりません。
そんな具合ですので、できれば価格交渉みたいなことはしたくないというのが本音です。提示した参考価格を上回るような高値でのオファーなら嬉しいですが、値下げ交渉みたいなことにはあまり力は使いたくありません。
また、何が何でも売却したいという話でもありませんので、条件が折り合わなければ売却自体を取り下げます。この点もあらかじめご了承いただければと思います。それでは引き続き、買い取りを希望する方がいらっしゃいましたら、motoharu.sumi@gmail.com までご連絡ください。秘密厳守で相談に応じます。
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