今日は奈良県吉野郡黒滝村というところで「銘木」の製造と販売を行っている徳田銘木という会社へ打ち合わせに行きました。銘木というのは、簡単にいうと材木の一種で、床柱などに使用される「格好いい材木」のことです。今回行ってきた奈良県吉野郡は、その銘木の産地として全国的に名高い地域で、林業は地域の基幹産業となっています。ところが、外国産の安価な輸入木材の流入によって国産木材の需要全体が冷え込んでいる上に、和室や和様建築の現象によって、銘木市場はさらに厳しい状況にさらされているそうで、ここ10年間で市場規模は約90%も減少してしまったそうです。廃業に追い込まれる銘木業者も多いなかにあって、この徳田銘木は順調に業績を推移させているのですが、既存市場の低迷は著しく、新たな市場を開拓する必要に迫られています。そこで、インターネットで何ができるか、ということについて打ち合わせしてきたのです。

この銘木という商品の難しさは、「素人にはイメージが湧きにくい」ということに尽きます。既存市場を攻めるのではなく、新たな市場を開発していく上では、商材をイメージしてもらいにくい、というのは致命的です。実際に製造の現場に足を運んだり、完成された製品を目にしたりすれば、その素晴らしさは語るまでもなく伝わるのですが、「見たこともない人の興味をひく」というのがとても難しいものです。しかし、縮小する一方となっている既存の販売ルート以外のルートを確保するためには、商品自体の認知を高め、多くの人に興味を持ってもらうことが必要です。そこでウェブの活用は効果的に思えますが、闇雲に広告を打ったところで効果が上がるとも考えにくく、SEOやリスティング広告を行うにしても、キーワードがあまりにも特殊なために、集客できるターゲットは限定的になりがちです。
こうしたことで僕が相談を受けたわけですが、戦略の検討に入る前に、まずは銘木について「僕自身が」知っておくべき、とのことから、今日は見学をメインに、調査と簡単な打ち合わせを行ってきました。

上の写真は木材を育てている現場ですが、枝や節のないまっすぐな木が茂っているのがわかると思います。これは、枝打ちや間伐などの作業を長年にわたって繰り返し、手間をかけて育てた林であるからこそこのようになるのだそうです。そして、写真に写っている木の中に、白い包帯のようなものが巻かれた木が混ざっていることがわかると思います。その写真が下のものです。

これは木の幹に樹脂製の型をワイヤーで巻き付け、木の肌に模様を作るというもので、この完成品は「人造絞り丸太」または「人絞」などと呼ばれる丸太になります。主な用途は床柱です。
こうして育てられた木は、皮を剥ぎ、磨き、乾燥させて製品の銘木となります。下の写真は先の絞り丸太ではありませんが、皮を剥いでいる様子です。

今日見てきたものの中には、節のある木を磨いたものが乾燥工程に入っているものもありました。

最初に立ち寄った生産者のところでは、このような風景の中で丸太を磨く作業が行われていました。

下の写真は、徳田銘木さんの会社の前の風景です。木の大きさを想像できるでしょうか。

下の写真は工場内の一角です。ほとんど完成した丸太が積み重ねられ、扇風機の風を通されています。ちなみに、写真左に見えるホリエモンっぽい感じで写っている人がここの社長です。

社屋の二階は倉庫になっており、完成品の銘木が所狭しと立ち並んでいます。

こうした風景を実際に見て、商品に触れると、銘木の魅力はとてもよく伝わります。また、価格も安く、普通の家の床柱に使うような丸太なら一本あたり1万円から3万円程度で入手できます。このため、銘木に興味を持って工場や倉庫に足を運んだ人のほとんどは、商品の購入に至るそうです。最近では、デザイナーや設計士などの建築家が、建物のアクセントになるような変木などと呼ばれる自然木を求めて訪れることが多いということで、そのあたりなるほどと納得します。
さて、こうして銘木の生産過程や製品を見学してきたわけですが、それを踏まえて打ち合わせした結果、ウェブの戦略は、広告でもSEOでもなく、ブログやフォトログを活用した戦略、しかも社長自身が気軽に作業しながら、銘木に興味のある人たちとシンジケートしていくような戦略を「とりあえず」採用することにしました。
当然といえば当然ですが、日本国内にはまだまだ、世界に誇れるような魅力的なものでありながら、ウェブ上にはあまり情報のない商品がたくさんあります。東京や大阪などの都市部の仕事だけでは想像もつかないことかもしれませんが、地方や山間部には、地方や山間部には、今回の吉野杉や吉野檜の銘木のように、業界の衰退や高齢化などの要因で、インターネットやWWWなどとは程遠いところに放置されたままになっていて、情報が発信されるのを待っていたりします。これらの商品は、情報や商品の流通において、WWWの活用はまだまだこれからです。僕にとってはこの種の仕事はとても面白く、ついついのめり込んでしまうのです。
まあ、今回はブログやフォトログを社長自身でやってみましょう、ということになったので、僕の売り上げにはなりません。しかし、こういうところから日本の、しかも地方のWWWの活用が活発になってくるのは僕にとって個人的にとても楽しいことですし、今は売り上げにつながらなくても、まわりまわっていずれは僕の仕事にもつながってくるでしょうから、今回の打ち合わせは未来への投資というか、仕込みのようなものです。
このブログを読んでいる人のほとんどは都市部在住で都市部に勤務している人だと思いますが、地方もなかなか捨てたもんじゃないですよ。
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