Long Tail とドロップ・シッピングを巡るEC周辺の熱い動き

情報としてはそれほど新しいものではありませんが、EC周辺の熱すぎる動きを2点ほど紹介します。アマゾン ジャパンがAmazon.co.jpにおいて、書籍やCDの委託販売を行うという「Amazon e託販売サービス」と、新たなECチャネルとして注目を集めるドロップ・シッピングに関するイベントで、アフィリエイト サービス プロバイダーの電脳卸が主催するアフィリエイト&ドロップシッピング見本市「d1.a9.ex」です。いずれも既存のECの流通を大きく変えるきっかけになりそうで、僕としても注目しています。

まずはアマゾンですが、今回、6月12日から開始されたという「Amazon e託販売サービス」は、Amazon.co.jpで書籍やCDの委託販売し、自費出版やインディーズCDなどのように、既存の卸が取り扱わないようなマイナーな商品でもAmazon.co.jpで販売できるようにするというものです。以下、Cnet Japan から引用。

 Amazon e託販売サービスは、出版社やメーカーなど、自社商品の販売権を持つ企業向けのサービスで、アマゾンが承認した企業のみが利用可能だ。企業はまずアマゾンに出品したい商品を登録する。すると、アマゾンが需要予測に基づいて仕入れ数を指定し、その数に応じて企業がアマゾンに商品を配送する。アマゾンは商品を自社の物流センター「アマゾン市川FC(フルフィルメントセンター)」に保管し、顧客の注文があれば通常24時間以内に発送する。

 Amazon e託販売サービスの導入により、アマゾンは取り扱う商品数を拡大できる。「(商品数の増加で)ロングテールを拡大する」(アマゾン ジャパンe託販売サービス統括マネージャーの根来香里氏)。一方、企業側は新たな販売チャネルを得ることとなる。

「ロングテールを拡大する」–アマゾン、委託販売を開始

e託販売サービスの利用料金は、年間9000円の年会費と、売上代金の40%。出品できる商品はISBNのついた書籍かJANコードのついたCDやDVD、ゲームソフトなど。出品者の資格は日本在住の20歳以上の個人か、国内の企業だそうです。このサービスによって、アマゾンのロングテールはさらに伸びていくのでしょう。

従来からあったマーケットプレイスでは、在庫を出品者自身が持ち、発送も出品者が行う、というものでしたが、今回の「Amazon e託販売サービス」は在庫をアマゾンで保管するため、商品や出品者の属性は両者で異なるものになるでしょう。e託販売サービスでは、商品は小ロットとはいえある程度まとまった数量のある、自費出版の書籍やインディーズレーベルのCDなどに最適でしょうし、出品者はそれらの制作者、という感じで、ほぼアマゾンの狙い通りの展開になりそうです。

もう一つの大きな流れはドロップシッピングですが、アフィリエイト サービス プロバイダーとして実績のある電脳卸が参戦することで、一気に国内でも加速しそうです。ドロップシッピングとは、ヨミウリオンラインの説明によると、以下のような感じです。

 アフィリエイトと大きく異なるのは、自前の商品を販売する点。アフィリエイトは、他人の商品を自分のサイトで紹介し、客がリンク先の販売サイトを訪れて商品を購入すれば、サイトの主宰者に報酬が支払われる。成果報酬型の広告である。

 一方、DSはネットショップ業者や個人による無在庫の商品販売だ。サイトに商品の注文が入り、入金の確認後に、メーカーや問屋などの仲介業者から商品が発送される。代金の決済、回収も業者が代行し、販売額と仕入れ値の差額がサイト主宰者に送金される。

 在庫を抱えずに済むので、商品を仕入れる手間、在庫管理・金利などのリスクは皆無である。

 DSのもう1つの魅力は、商品価格を自由に決められる点だ。売れ行きが悪ければ値段を下げてもよい。ホームページの見栄えをよくしたり、商品の種類や値段を変えたりできる。モチベーションが高まるのはいうまでもないだろう。

新しいネット商法“ドロップシッピング”は在庫なし・発送せず・集金せずでリスクなし : ネット&デジタル : YOMIURI PCから : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

日本人が知らなかったネットで稼ぐ新手法 ドロップシッピング現在の中小零細のECサイト(ネットショップ)が扱う商材はニッチ商品が多く、なかでも、手作りの工芸品や少量生産の食品や衣料品などのように、インターネットでしか入手できないものが多くを占めています。また、製造者が自ら販売者を兼ねていることも珍しくありません。しかし、ドロップ・シッピングが一般化すれば、製造者は商品の製造と情報提供に専念し、販売者はその商品と情報を使ってECサイトを構築し、販売業務を行う、といった分業化もあり得るでしょう。

現在のところ、いわゆるウェブ制作業者(僕含め)というのは、顧客のためにサイトを制作し、そのサイトで成果が上がろうが上がるまいが関係なく、顧客から「サイト制作料金」や「運営維持費用」を徴収してきました。何かがおかしい、と考えるのは普通のことでしょう。しかし、ドロップ・シッピングの仕組みを使えば、販売サイトの制作は成果報酬が当然ですから、商品を持っている会社からすれば無駄(かもしれない不明瞭な)な投資を抑えることができ、サイト制作を行う業者は成果に対して正当な報酬(莫大な金額かもしれず、ゼロまたは持ち出しかもしれませんが)を手にすることができるようになります。

こうした流れは、まさに革命と言っていいでしょう。近い将来のEC周辺の事情がどう変化するか、非常に楽しみです。
なお、電脳卸が主催するアフィリエイト&ドロップシッピング見本市「d1.a9.ex」では、見本市の他にセミナーも行われるのですが、僕がそのトップバッターとして午前11時45分から講演を行います。開催日は2006年7月22日、場所は東京都港区北青山のTEPIAプラザ(財団法人 機械産業記念事業財団)です。こちらもよろしくお願いします。

ブログ内の関連する記事

 RSSを購読

トラックバックURL


トラックバック2件

  1. 芸人として

    mixi経由で、住さんのブログを見てて…時代は変わってきているなあ…って痛感した。インターネットに関わって11年目になるが、そういった長期的な視線での話。…

  2. d1.a9.ex ~アフィリエイト&ドロップシッピング見本市~ に参加してきました

    電脳卸主催のd1.a9.ex ~アフィリエイト&ドロップシッピング見本市~に参加してきました。