注意:
このエントリはアルファブロガーやマスコミのネタバレを中心に構成されています。人によっては不愉快に感じる可能性のある内容を含んでいることをご了承ください。
「リンクベイティング(リンク餌撒き)」と呼ばれるテクニックがあります。SEO において自然な被リンクの獲得を狙って様々なエサをばらまくことや、SMO においてコミュニティを煽り論争をかき立てることを狙って様々なネタ投下することなど、エサを撒いてリンクを集めるテクニックをまとめたものです。Link Bait - Wikipedia Enによれば、リンクベイトとは「他のサイトからのリンクを得るためのエサとなるあらゆるコンテンツまたは特徴」であるとした上で、リンクベイティングは自然な伝染性があるために、極めて強力なマーケティング手法であるとしています。つまりリンクベイティングとは、いわばマーケティング目的で行われる「釣り」や「煽り」の一種であるというわけです。SEOmoz Blog | The Two Kinds of Linkbaitによれば、餌そのものとなるリンクベイトには次の2種類があるといいます。
- 強力なリンク元となる人々(Linkerati)にターゲティングされた、リンクされるために作られるコンテンツ
- 論争を誘発させることによって注意を引き付け、人々を煽ったり怒らせたりすることによってリンクを引き寄せるコンテンツ
リンクベイトはテクニックによって生み出されます。もちろん、被リンクを得るための究極の方法は「Cotent is King」であるのは間違いないと言っていいでしょう。しかし、優れたコンテンツを生み出し続けることは、そう簡単なことではありません。この意味で、リンクベイティングは効果的なものだと言えるでしょう。なぜなら、リンクベイティングのテクニック、つまり釣りのテクニックは、少しばかり(かなり?)詐欺的ですが、実際に多くの人が釣られ、優れたコンテンツを生み出す能力をそれほど強く持っていない人々(僕含め)のマーケティングに大いに役立っているからです。そこで僕は今回、Link Bait - Wikipedia En や The Art of Linkbaiting | Performancing.com などで紹介されている具体的な方法をもとに、さらに日本のソーシャルメディアの現状などを加味して、以下の6種類のテクニックにまとめてみました。これに目を通せば、僕たちが日常、どれだけ釣られているかがよくわかると思います。
リンクベイティングの6つのテクニック
- 1. 情報提供で釣る
- 何かしら人々の役に立ちそうな情報を餌にする方法。
- 「 X のまとめ」といった特定分野に関する包括的な情報をまとめたコンテンツを餌にする
- 「 X に関する n 個の効果的な方法」のような特定分野に関する How to や Know How のリストを餌にする
- 「 X を Y できる便利ツール」といった特定分野に関する役立つツールの紹介コンテンツを餌にする
- もちろん紹介される側に回ればそれが最強。
- * 国外ではホワイト・ペーパーや無料レポートをエサにするケースが多いようです。
- 2. ニュースで釣る
- 新鮮な情報を餌にして、ニュースソースとして参照されることを狙う方法。
- 「速報! X が Y を発表」といったように、本物のスクープを餌にする
- 「 X 社の Y 報道について思う」といったように、元のソース以上に釣りとしての味付けを加えてニュースを伝える
- 「スクープ! X 事件の Y は Z だった」といったように、誰かの正体を暴くことや詐欺の全容を解明することを餌にする
- 3. 反対表明や攻撃で釣る
- ポピュラーな製品や有名ブロガーに対して、強力な証拠や理由によって反対表明や攻撃を行い、論争の種を撒く。成功すると効果は大きいが、失敗したときの被害が大きいため実行には注意を要する。
- 「 X の発言は Y の点で間違っている」のような、有名人や有名ブロガーなどの特定個人に対する反論を餌にする
- 「 X たちが Y するのは不快」のような、特定の集団に対する不快感を表明することによって論争を引き起こす
- 「 X は Y と言っているが実は Z」のように、特定の個人や集団に対する反証を上げて攻撃することで論争を引き起こす
- 4. ユーモアで釣る
- おかしな話やジョーク、変な画像、動画などを餌にして、愉快な話題を振りまく方法。
- 5. 煽りによって釣る
- 常識や固定観念を覆すような事実を何らかの証拠とともに掲出し、危機感を煽る形で話題を振りまく方法。
- 「あなたが考えているほど X は Yではない」や、
「勘違いするな! X は Y ではない」や、
「 X は本当に Yか?」や、
「 X も絶賛、今流行の Y の秘密に迫る」など、女性週刊誌や午後のワイドショーのような煽りを餌にする - 「 X な人が陥りがちな Y の落とし穴」のように、男性誌にありがちな煽りを餌にする
- 「知らないと損する! X に関する n 個の知識」のような形で、相手の無知に対する危機感を煽る
- 「 X は Y ですが何か?」や、
「はいはい X を Y した俺が来ましたよ」や、
「 X の Y が激しく Z すぎる件」に代表されるようなものも日本のネットコミュニティにおいては見られる(追加: 20時30分)
- 「あなたが考えているほど X は Yではない」や、
- 6. レビューで釣る
- 新しい製品やサービス、流行の製品やサービスや場所を餌に、それらについて面白おかしく(時には批判的に)レビューする方法。
- 「 X の新製品 Y のここが凄い」といったように、話題の製品について変化をつけた視点からのレビューで釣る
- 「あの新名所 X に行ってきました」のように、話題の場所やサービスの流行に便乗する形のレビューで釣る
- 「話題の X に潜む危険すぎる Y 」といったように、話題の製品やサービスについての批判的な側面からのレビューで釣る
ここまで読んだ人は、これらのリンクベイティングのテクニックが、すでに日本でも恒常的に使われていることに気付くでしょう。そして、僕たちの多くもまた、いつも釣られまくっているという事実にも気付くはずです。
上で紹介した数々のリンクベイティングのタイトルの例は、昨日(2007年1月25日)発表された2006年 アルファブロガー トップ40 のブロガーたちが書くエントリ群や、はてなブックマークの人気エントリにランクインするようなエントリ群の、ほとんどすべてに見られます。意識的なものであるかどうかに関わりなく、日本でも、ここまで紹介してきたようなリンクベイティングのテクニックが大いに活用されているのです。そしておそらくアルファブロガーの人々は確信犯でしょう。彼らが書くエントリの中から、先述の例に該当しないエントリを探すことは、事実、困難を極めます。(そして僕自身もここ数ヶ月は確信犯的にこのテクニックを用いたエントリを複数投稿しています)
このエントリを読んで気を悪くするか、または新たなマーケティングテクニックとして参考にするかは、読む人それぞれの自由ですが、少なくとも、リンクベイティングというテクニックがあるということだけは知っていて損はないと思います。Google のウェブスパムチームの総大将である Matt Cutts も言っているように、「ほんのちょっとした仕込みが、人々にリンクする理由を与えることもある」のです。時には、このテクニックを実際に使ってみるのもよいかもしれません。
最後に、この周辺ではリンクバイティングの是非を問う議論が発生していることもお知らせしておきます。要するに使いすぎはよろしくない、ということでしょう。また、現在のところ日本語圏での扱いはこんな状況(Google 検索: リンクベイティング)で、まさに魑魅魍魎が跋扈する世界といった様相を呈しています。
なお、以下はこのエントリを書くにあたって参考にした主な URL です。実際はこの他にも、この話題に関する50以上の英文のエントリと、Digg や Del.icio.us のようなサイト、そして日本語による主要な各ソーシャルブックマークサービスのほとんどに目を通しました(事実かなりたいへんな作業でした)。さらに、書き上げた文章を推敲し、その量を約 1/3 まで減らしました。僕のこの作業が、何らかの形で(もちろんリンクやブックマークやフィードの購読などで)報われることを祈って、今日は寝ることにします。(ってもう朝ですけど)
- Matt Cutts: Gadgets, Google, and SEO » SEO Advice: linkbait and linkbaiting
- SEOmoz Blog | The Two Kinds of Linkbait
- The Art of Linkbaiting | Performancing.com
- Linkbaiting or Link Baiting Strategies? : SEO Book.com
- Link bait - Wikipedia, the free encyclopedia
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