現在位置: メイン > お仕事のことマーケティング >

実務家向けの「役に立つ」コトラー

実のところ、マーケティングに対して僕が自発的な興味を持ったのは2000年頃からのことで、ウェブ制作の仕事を始めた後のことでした。今からでは信じられないことですが、僕は紙媒体におけるデザインの基礎(構図とか配色とかフォントとか)と、インターネットにまつわる技術を独学しただけという頼りない状態で、この仕事をとりあえず始めてしまいましたから、仕事を進めていく中でマーケティングにぶつかるのは当然の成り行きでした。サイトの企画や戦略を構築するためにはマーケティングの基礎知識くらいは必須のことで、これなしにウェブサイトのプロデュースなどはあり得ず、僕はあわてて勉強を始めました。

しかしマーケティングに関連する本は、基礎的なものを扱うものほど無味乾燥で難解なものが多く、読みやすい本は小手先のセールステクニックを扱うような本ばかりで、実際のところかなり困り果ててしまっていました。例えば「コトラーのマーケティング入門」などは名著なのでしょうが難解で分量も多く、読了したのはずっと後のことで、しかもその大半は頭に入っていません(8,000円近くもしたのに)。これらの本が役に立ったと言えるのは、主に中小零細企業の社長さんであるクライアントと会話する際の「共通の言語」を持つことができたことくらい(これはこれでとても重要ですが)で、僕が知りたかったことのほとんどは(僕の理解力不足から)結局わからずじまいでした。

僕が知りたかったことは、クライアントのウェブサイトの方向性や企画を決定するために必要になるマーケティングの考え方でした。まずは業界の動向や競合分析など、クライアントの業界を理解すること、そしてクライアントが現在とっているオフラインの戦略を理解すること、その上で、オンラインでの展開をどう位置づけ、どう展開していくか、ということを考えるための基礎的な指針でした。どれも基本的なことに思え、実際に基本的なことなのでしょうが、これらを真に理解させてくれる本にはなかなか巡り会うことができませんでした。

コトラーの戦略的マーケティング—いかに市場を創造し、攻略し、支配するかそして出会ったのが、「コトラーの戦略的マーケティング—いかに市場を創造し、攻略し、支配するか」です。この本は表紙や帯を見ても入門書の趣はありませんが、それは研究者や学生を対象にした教科書的なものではないためです。この本は、マーケティングの新しい動向をふまえて企業の管理職向けに書き下ろされたもので、入門書としての機能は果たすのですが、教科書としての体裁ではなく、実用書のような構成になっています。実践をふまえた実務家向けの内容である上に、基礎的な考え方もきちんと解説されているために、まさに僕にとって、この本を読むことは発見の連続であり、その後マーケティングを理解していくための基礎を作るにふさわしいものでした。

僕はこの本との出会いがあったからこそ、その後に出会った様々なメソッドを取り入れつつも、基本を見失うことなく進むことができたのだと思います。そして、それまでは漠然とした直感のようなものだった「ウェブ制作者はマーケティングの知見を持たなければならない」ということは確信に変わり、僕の仕事が生み出す成果も、その後の勉強の方向性も、すっかり一変してしまったのです。思い出深く、今も時々開いてみる一冊です。

 RSSフィードを購読

←直前「ラプソディー・ネイキッド - RCサクセション
→直後「専門サービスのマーケティング

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

この一覧は、次のエントリーを参照しています: 実務家向けの「役に立つ」コトラー:

こんどはこれかな? | 石川県不動産情報(uhブログ)
「ウェブ進化論」梅田 望夫さんのブログ経由で太陽さんのブログを知りました。 マーケティングの勉強中ですので参考にさせていただきます。 続きを読む