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学習する組織

ロイヤル・ダッチ・シェルの企画部長、アリー・デ・ジウスによると、「競争相手より早く学べる能力、それが競争力を維持する唯一の鍵である」そうです。しかも、今の主流である知識労働を主とする組織においては、産業革命の時代の工場のような組織とは違って、末端に至るまで権限の委譲が進み、末端の構成員であっても意志決定の機会が毎日のように何度となく訪れています。このため、組織全体としてよりよい意志決定を下し続けるためには、組織の中の一部の人が早く学習するだけでは足りず、組織に参加している全員が早く学習する必要があります。

「学習する組織」(ラーニング・オーガニゼーション)だけが変化の波に乗り、イノベーションを起こすことができるといい、この考えは20世紀終わり頃から注目を浴び、多くの企業が採用に躍起になっています。しかし、ある種の組織にとっては「全員が学習すること」は日常的なものです。私たちの周りには、特に意識するまでもなく「学習する組織」として成立している組織があります。それは、僕も所属している「フリーランスのネットワーク」です。

フリーランスのネットワークには、中心や命令系統のような縦のつながりはありませんし、所属している証明のようなものもありませんから、いわゆる「組織」として僕たちがイメージするものとは少し性質が異なります。しかし、一人ではできないような良い仕事をするために複数の人が集まってプロジェクトを作る、といった意味では組織であり、その本質は会社と同じものです。むしろ、フリーランスのネットワークは「良い仕事」という部分に特化して高度に自己組織化しているため、組織学習に適しており、変化に対応しやすく、イノベーションも起こしやすいのではないかと思います。

以前であれば、企業の組織論とマネジメント論は切り離すことのできないものとして語られていましたが、「学習する組織」においては、マネジメントよりも自己マスタリーシステム・シンキングに重点が置かれています。リーダーシップについても、従来の「先頭に立って引っ張る」タイプのものではなく、個々人にとって最適な環境を用意すべく給仕するタイプのリーダーシップが望まれています。これは学習する個人同士が刺激し合い、自己組織化していくようにし向けるというもので、企業がフリーランスのネットワークを目指しているかのように読み取れます。

最強組織の法則—新時代のチームワークとは何か「学習する組織」について解説した本で、「最強組織の法則—新時代のチームワークとは何か」(ピーター・M・センゲ 著)というものがあります。ラーニング・オーガニゼーションという言葉が一般的でなさすぎたために無理な邦題をつけたのか、イマイチ内容を表しているとは言いにくい変な邦題がついていますが、原題は「The fifth Discipline - The Art & Practice of the Learning Organization」というもので、「学習する組織を作る5つの法則」といったところでしょうか。この本は実際のところ、イノベーションや変化への対応をするには大きくなりすぎてしまったような企業を対象に書かれたものですが、僕はこの内容から、フリーランスのネットワークを想起しました。もしかしたら、フリーランスのネットワークこそ「ラーニング・オーガニゼーション」であり、次世代の組織の形なのかもしれません。

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