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アルファブロガーを殺す「ブログライフサイクル」

過去に名を馳せたアルファブロガーと呼ばれる人々のブログのうち、現在も継続して興味深いブログが存在する一方で、未だ多くの読者を抱えてはいるものの、すでに抜きん出て面白いなどとはいいにくい内容になってしまったブログも数多くあることについては、少なからぬブログ読者の賛同を得られるところだと思います。しかし、過去に面白かったブログが徐々につまらなくなっていくのはある意味でしかたのないことなのではないでしょうか。

今回は、プロダクトライフサイクルに引っかけた「ブログライフサイクル」という概念を用いて、人気ブログが面白くなくなっていく理由について論考してみたいと思います。ここで重要になるのは、ブログそのものの品質と、ブログ読者のタイプについての考察です。これはプロダクトライフサイクルにおける新製品とその購買層の関係と符合しています。場合によっては、ブレイク前のバンドやアイドルや芸人と、そのファン層との関係とも合致するかもしれません。僕の説の要旨は、簡単にまとめると以下のようなものです。

ブログライフサイクル

  1. 当初ブロガーはエッジの利いたオピニオンを発信し、初期の読者層(アーリーアダプター)に熱狂的な支持を受ける。この時点でのアクセス数はそれほど多くなく、アクセス数の向上にも熱心で、そのためにも良質なエントリを連発する。
  2. ブログが成長し、うまくキャズムを乗り越え、マジョリティー層にも読まれるようになると、エントリの質は低下する。なぜなら、マジョリティ層がそのブログを読む理由は「アルファブロガーのブログだから」とか「みんなが読んでいるから」というものであり、実際の内容よりも、そのブログが「有名である」という物語や伝説のほうをより重視ようになっているためである。マジョリティーに受け入れられているという意味では、そのブログはマスメディア化したともいえる。
    • もちろんその一方でキャズムに飲み込まれて成長を止める圧倒的多数のブログも存在する
  3. そのブログがマジョリティー層に読まれるようになると、黙っていても相応のアクセスや反応があるため、ブロガーはエッジの利いたオピニオンを引き出したり、苦労して質の高いエントリを量産するような努力を怠るようになる。その一方で、マジョリティーの読者はみんなが読んでいる有名ブログを求めているため、そのブログがある程度の知名度を誇ってさえいれば、読者が読者を呼び、読者は際限なく増えていく。
  4. アルファブロガーはその地位に安座するようになり、またはブログに対する興味を失い、必然的にエントリの質が落ちる。この結果、当初のエッジを求める読者層(アーリーアダプター: 彼らは新しい物好きで飽きっぽい)はそのブログを離れ、未知の面白いブログを求めて他のブログへと歩を進める。

この図式は、ブログ運営側の視点から見れば、例えば良質の料理やサービスを供することで一部のグルメの常連客の間で話題になった飲食店が、メディアに取り扱われ、新規顧客が殺到するようになるにつれ、味やサービスが低下するようなケースと近似しています。飲食店からすれば、そもそも料理やサービスの質を向上させるべく努力していたのはお客さんを集め、ひいては売り上げを上げることなのであって、黙っていてもお客さんが集まるような人気店になってしまえば、それ以上の努力の必要がなくなる(よくしても現状維持程度の努力でよくなる)ということと同様です。

また、ブログ読者の視点から見れば、メジャーデビュー前のアイドルや芸人の追っかけや、ストリートミュージシャンのグルーピーなどのように「僕だけが知っている、私だけが応援している」存在については熱狂的に支持するものの、彼らがメジャーデビューし、にわかファンのような人々を大量に集めるような状況になるにいたると、すぐに興醒めしてしまうような状況と近似であるように思います。つまり彼らは新しい物好きで飽きっぽいアーリーアダプターだというわけです。(もっとも僕は追っかけの心情もグルーピーの心情も理解できているわけではないのですが)

読者がブログを殺す

つまり、ここで僕がいいたいのは、ブロガーが読者を気にしすぎると、その読者によってブログは殺されてしまう、ということです。中には、キャズムを乗り越えてなお独自の調子を貫き通している「切込隊長BLOG(ブログ)」や、そもそもキャズムなどとは無関係に一定読者向けの情報を発信し続ける「メディア・パブ」や、はじめからマジョリティを対象にしているような「GIGAZINE」のようなブログもあり、これらは僕からみると希有な才能の発露か、または戦略上の勝利のように見えます。

しかし、僕のブログのように「なんとなくはじめた」ブログが現在のようにある程度の読者を抱えるに至ると、先が見えてくるというか、なんだかすぐにでもキャズムに落ち込みそうな気がして、空恐ろしいものがあります。あまりにも読者が増えすぎると、読者に殺されそうな気がするのです。

キャズムに突き進まないために

僕のような凡庸かそれ以下の才能しか持ち合わせていないブロガーにとっては、キャズムは(おそらく上手く乗り越えられないために)恐怖ですらあります。そこで、僕はちょっとした仕掛けをブログに施しています。前提として、すべての新しいブログ(僕のブログも開設から一年未満です)は、キャズムを乗り越えるかそこに落ち込むかは別として、キャズムに向かって突き進んでいるということは事実だと思います。しかし、それを加速するのは、何といっても「クチコミ」の力によるところが大きいでしょう。僕のブログ読者が「このブログは面白いよ」のような形でクチコミを広げてくれると(それはそれで喜ばしいことなのですが)、僕のブログはキャズムへとまた一歩近付いてしまいます。

しかし、クチコミが発生するためには、そのブログを人に知らせたいと思わせる要因が必要であるのと同時に、人に知らせたくないと思わせる要因がないことというのも重要です。そこで、僕は自分のブログに、読者が他人に知らせることをはばかるような要素を加えています。これによって、僕のブログの読者の増加はある程度限定的になるというわけです。具体的には、僕のブログの読者の方ならすでに嫌というほどご存じだとは思いますが、僕のブログには相当の割合で宗教ネタ(もっとも僕は特定宗派に所属していたり、なんらかの宗教の信者だったりはしないんですが・・・)が含まれています。つい最近でも、

といった具合で宗教ネタを披露していますが、こうした宗教ネタなどは、一般的に日本社会においては公共の場で声高に議論することは禁忌とされており、常識人であればこの類の話題に公の場で積極的に触れることはなく、したがってクチコミの発生も限定的になるという効果が期待できます(他に同種の効果を持った話題としては同和関連や左翼関連といったものもあります)。実際に、Web ベースのRSSリーダーの登録状況などを見ていると、僕がしつこく宗教ネタを書き綴ると、明らかに RSS の登録数が減少します。こうしたところで、読者のフィルタリングが可能になる、というわけです。

こうした仕込みを加えた上で、もし僕のブログがキャズムを超えるようなことになった場合、それはそれで僕にとっては喜ばしいことだったりもします。キャズムに飲み込まれないようにしつつ、楽しくブログを続けていければ、僕にとってはいうことはありません。

というわけで、まだ僕のブログをRSSリーダーに登録していない皆さんで、かつ宗教ネタは華麗にスルーできるという方は、今すぐRSSリーダーへの登録をお願いします。僕は個人的には Firefox や Safari などのブラウザ組込型のリーダーを利用しているのですが、最近では Web ベースのLivedoorリーダーや、Google パーソナライズドホームページMy Yahoo! あたりが人気のようです。以下に、主要な RSSリーダーへの登録リンクを列記しておきます。

キャズムマーケティングは「嘘」を語れ!—顧客の心をつかむストーリーテリングの極意

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