僕は原発については素人ですし、反対派でも推進派でもありません。ただ、昨今の報道には疑問があります。それは福島第一原発の3号機がMOX燃料を使用するプルサーマル型であり、通常の軽水炉よりも危険が大きいという点について、現状ほとんど何も発表も報道されないことについてです。
福島第一原発3号機の特異性について
福島第一原発3号機が昨年2010年9月23日からプルサーマル運転していたことについては、以下に報道があります。
また、3号機の使用済み核燃料プールに保管されているものがMOX燃料の核廃棄物であることについては、東電および福島県のサイトに複数の資料が上がっています(いずれもPDF)。
- 福島第一原子力発電所3号機の燃料プールに保管中のMOX燃料の健全性の確認結果について
- 福島第一原子力発電所3号機の長期保管MOX燃料の健全性について
- 東京電力(株)福島第一原子力発電所3号機において長期保管したMOX新燃料の健全性に係る確認結果について
福島第一原発3号機ではプルサーマル発電が行われていて、その使用済み燃料プールに保管されているのはMOX燃料であることは事実のようです。しかし残念なことに、政府の発表やマスコミの報道ではこれらにほとんど触れられていません。
プルサーマルやMOX燃料の危険性について
プルサーマルやMOX燃料がどれほど危険なのでしょうか? 以下に信頼のおけそうなソースを示します。
- 原子力発電は危険、プルサーマルはさらに危険 – 京都大学原子炉実験所 小出裕章(PDF)
- 日本の原子力発電所で重大事故が起きる可能性にMOX燃料の使用が与える影響 – 核管理研究所(NCI)科学部長エドウィン・S・ライマン博士
- プルサーマルの危険性を警告する – 核管理研究所(NCI)科学部長エドウィン・S・ライマン博士
現状の推察
福島第一原発3号機の現状ですが、昨日(2011年3月17日)、3号機使用済み核燃料保管プールへの放水に際し、北沢防衛相は「(3号機の状態は)今日が限度だと判断し、投下を実施した」と述べています。
数日前までの原発に関する報道の焦点は、炉心溶融(メルトダウン)を起こすか起こさないか、ということでした。現在では、(主に第3号機の)使用済み核燃料保管プールへの注水・冷却に焦点が移っています。
素人考えでは、これはつまり、MOX燃料を保管している第三号機使用済み核燃料保管プールが危険な状態にあり、メルトダウンどころではない未曾有の大事故の寸前にある、ということを示しているとしか考えられません。
政府や報道に期待すること
こうした問題については、僕も含め多くの市民には知識がなく、すべて報道に頼り切っている状況にあります。しかしその報道は核心部分について曖昧で、それがかえって不安を増大させている現状です。ネット上では流言の類も絶えません。
不安や憶測ばかりが先行するこの状況を打開するには、政府や報道は、福島第一原発第3号機がプルサーマルであること、使用済み核燃料保管プールに保管されているのがMOX燃料であること、などを明示した上で、現状分析や起こり得る危険などについて正確な発表・報道をするほかありません。
これだけネットが普及した現在、情報統制のようなことをするのは、徒に不安を煽り流言を加速させるだけです。政府や報道には、福島第一原発第3号機の特異性を踏まえ、正確な発表・報道を望みます。