監訳のお仕事が大詰め

いま僕は、ある洋書の監訳の仕事をしています。進捗状況はといえば、すでに本来の締め切りを一ヶ月ちかくもオーバーしているという状況。少なくとも先々月の後半からはひたすら、夜も昼もなくこの本と向き合っていて、もう日付の感覚も時間の感覚もなくなってしまいました。

今は羽田へ向かう飛行機を待つ時間を利用して、伊丹空港のラウンジでこの文章を書いています。今日からおよそ3日間は東京出張で、その間はお仕事は中断です。まあ、今回の上京だってそれ自体がまた別の仕事なんですけど、それでも家の中でひたすら同じ本と向き合っている日々からすれば、ちょっとした気分転換にはなりそうです。

監訳ということで引き受けたこの仕事ですが、実質的には監訳というよりは翻訳。機械翻訳(に毛が生えた程度)の下訳原稿が送られてきて、それをちゃんとした日本語に直す、というのがその仕事の内容なのですが、なにしろ下訳は機械翻訳。まずは原書を原文のまま読み込み、次に原書と付き合わせながら下訳の誤訳部分を修正し、それから日本語として適切な文章にリライトします。

わりと時間があったにもかかわらず、大きく作業が遅れてしまっているのは、原文がすごく平易な英語で書かれていたために、ちょっと作業を軽く見過ぎていたんです。

しかし、原文が平易な英語で書かれているということは、決して翻訳が容易だということを意味しているわけではないんですよね。つまり、原書の良さは「興味深い内容を誰でも理解できる平易な文面で表現してあること」なわけで、その美点を日本語版にも継承しようとした場合、いかにも翻訳といった感じの難解な文章になってしまっていたら、日本語版としてまったく意味がない。むしろ原書読んだほうがよくなっちゃう。

原文が平易なだけに、日本語の文章も平易でわかりやすいものにしたいという気持ちが、やはり強く働きます。原書の良さを僕がスポイルしてしまうわけにはいかないですもんね。翻訳の仕事って、もちろん内容に対する理解が最も重要なわけですけど、語学のスキルとして重要なのは、英語力よりもむしろ日本語力(つまり最終的なアウトプットとなる言語)のほうなんだなっていうことを痛感しました。

で、現在の進捗状況ですが、全編にわたる誤訳の修正はすでに完了し、全10章のうち7章の途中まではちゃんとした日本語になっています。ここまでの作業ペースを鑑みると、残り3章と少しを日本語として適切なものにするために必要な正味の作業時間で4〜5日、全体の見直しと用語の統一などでさらに2日程度が必要となりそうです。つまり、帰阪してからまだ一週間程度はかかりそう、ということ。担当してくれてい編集者さんには言い訳のしようもありません。

ちなみにこの本の内容ですが、SEOを軸にしながらも、Blog、ソーシャルメディア、メールマガジン、アフィリエイト、PPC広告、コンテクストマッチ広告、ショッピングモール、比較サイト、オークションなどなどについての考え方や具体的な手法が網羅されており、SEO本というよりはインターネットマーケティング全般の解説書といった構成になっています。そして、監訳者である僕自身、翻訳作業を進めながら何度も目から鱗を落としました。すごい良書です。

また、SEOを軸にしながらもインターネットマーケティング全体についての考え方と手法を解説するというこの本の趣旨は、まさに僕が自分のオリジナル本でやろうとしていたことそのものです。しかも、内容としてはこの洋書のほうがずっと素晴らしい。この本に出会ってしまったことで、自分のオリジナル本に対するモチベーションが大きく下がっってしまったことは内緒です。

いずれにしてもこの本、僕の監訳という形で日本の読者の皆さんに紹介できるのはとても嬉しいことです。残る作業も少なくなってきて、ようやく来週末にはすべての原稿が出来上がりそうな目処も立ってきました(すでに遅れ倒してるんですけどね)。できるだけ多くの人に読んでもらえるように、来週一週間も引き続き頑張ります。

# 国語も英語も赤点を取りまくっていた昔の僕を知っている人たちからしたら、僕がこんな仕事をしているなんて信じられないだろうなあ。自分でも信じられない。

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