ネットレイティングスさんが「データクロニクル2006・ファクトシート」として、2000年以降の日本人のウェブ利用行動の変化を毎回ワンテーマで分析し、定期的に公表するそうです。その第一弾「2000年4月以降の主要企業ホームページへの訪問者数」が公表され、ちょっとした話題になっています。以下に、Japan.internet.com の記事を引用してみます。
2006年4月から8月までのドメイン別月間平均訪問者数では、ソニーの「sony.co.jp」が228万人、「sony.jp」も120万人を集めた。またトヨタはマーケティングサイト「toyota.jp」のみで100万人を超えたほか、松下電器の3ドメイン「panasonic.co.jp」、「panasonic.jp」、「national.jp」や、東芝「toshiba.co.jp」、アサヒビール「asahi.co.jp」、味の素「ajinomoto.co.jp」、がいずれも100万人前後の訪問者を達成。
また化粧品、トイレタリーメーカーについても、資生堂「shiseido.co.jp」、花王「kao.co.jp」の企業サイトでは月によって100万人前後に達するケースが見られる。
Japan.internet.com Webマーケティング – 月間100万人以上が訪問する「メガメディア」も、ネットレイティングスの企業サイト調査
この記事の元になったデータはネットレイティングスのサイト内にPDF形式で公開されています。気になる方はご自身でダウンロードしてご覧になるとよいでしょう。以下はその中の、萩原さんの見解部分の引用です。
企業サイトへブランドや商品に関心を持つ100万人以上が訪問するということは、企業サイトがウェブメディアと同等の力を持つ可能性を否定できません。企業サイトへの 訪問者数は、ウェブ上の消費者との直接コミュニケーションの総量と言い換えることもできます。それゆえ、長期間のトレンドが把握できる時系列データによって、自社サイトの成長力について定期的なアセスメントを行うことは有意義 です。
≪データクロニクル2006・ファクトシート≫ 月間100万人以上の訪問者を集め、「メガメディア化」が進む企業サイト サントリーとキリンビール、日産とホンダはウェブでも「好敵手」
この件に関して言及する前に、まずは面白い画像を一つ。上記で話題になっていたサイトのうち、月間120万人前後を集めるという「toyota.jp」と「sony.jp」、そして僕のサイトである「searchengineoptimization.jp」を、Alexaを使って比較したものです。

これを見ると、どうでしょう、巨額の費用を投じて制作・運営されている巨大企業のマーケティングサイト(トヨタもソニーもコーポレートサイトは別にあります)の中にあって、個人運営で予算ゼロの僕のサイトがまずまずの健闘を見せていることが感じられるのではないかと思います。このデータの分析については、棚橋さんの DESIGN IT w/LOVE に面白い記事があるので参照したいと思います。
これらのエントリの中で棚橋さんは(コメント欄も使って)、「もっとWebサイトを使って、企業ができることはあるでしょう」ということを言っています。オフラインでの知名度やブランドを含めた会社としての規模はそれほど大きくなくても、Web上でのコミュニケーション活動を工夫することによって、無名の小企業であっても、知名度の向上や大規模な集客は可能である、というわけです。先に僕のサイトを例に出したのは、こうした棚橋さんの言及について、これは無名の会社どころか個人レベルでも達成可能、という補完の意味を込めてのことです。
もちろん僕は、トヨタやソニーのサイトで無駄なことをしていると思っているわけではありませんし、たとえそれがWeb上のことであったとしても、小規模な会社と巨大企業ではマーケティング活動の方法論がまったく違うことも理解しています。大企業は、すでにある知名度やブランドを守る必要があるために、知名度やブランドを持たない零細企業や個人がやるような「尖りすぎた」ことはなかなかやりにくく、現時点ではどうしても、従来からあるマス的なアプローチに頼らざるを得ないのでしょう。逆に言えば、まだまだWebの世界では零細企業や個人は冒険ができる、ということであり、ここでの僕の結論は、「やっぱりまだまだWeb上ではイケイケの零細企業や個人が有利だ」といったところです。
で、最後に、このエントリのオチを。
僕のサイトをAlexaで見ると、なんだか100万人以上を集める大企業のマーケティングサイトと張り合っているように見えますが、実際のところはそんなアクセスはありません。もっとずっと低いです。PVベースで、ノンヒューマン(ロボットとか)のアクセスまで含めれば月間100万PVくらいはありますが、これはあくまでPVの話ですし、ユニークアクセスで言えば月間100万なんて夢のまた夢、といったところが実際です。Alexaのデータはだいたいの傾向をつかむ足しにはなりますが、一部のカテゴリのサイトにとっては正確とはいいにくいデータを表示します。そしてその一部のカテゴリのサイトとは、「SEO関連サイト」です。
Second, there is some serious webmaster skew in the Alexa data. There is no way that I have 1/4th the daily reach of Ask. I think my site gets a little boost because tons of SEOs install the Alexa toolbar.
二つ目に、Alexaのデータには深刻なゆがみがある。私のサイトにAsk.comの4分の1もの訪問者があるはずがない。思うにこれは、Alexa ToolbarをインストールしたSEOの連中が山ほど私のサイトに押しかけてきていることによって、ちょっとした上昇が起きているのだろう。(へたくそな訳は僕による)
Matt Cutts: Gadgets, Google, and SEO » Thoughts on Alexa data
以上はGoogleの中の人の中でもかなり面白い過激発言を繰り返していることで有名な Matt Cutts 氏の2006年5月16日のエントリからの引用ですが、僕のサイトもまたこれと同様で、僕のサイトの利用者におけるAlexa Toolbarのインストール率は、一般的な他のサイトと比較すると明らかに異なる比率になっているはず(もちろん僕のサイトの訪問者のインストール率が高いはず)で、その結果、実情とはまったく異なるデータが出てしまうわけです。普通に考えて、僕のサイトがソニーやトヨタと張り合えるわけがありません。ここがこのエントリのオチです。まあ、Alexaの誤差を考慮しても、個人運営のサイトが健闘している図式だけが見て取れればそれでよいかなあ、といったところでしょうか。
ブログ内の関連する記事
広告


適切な調査対象者の抽出(サンプリング)とは? 〜調査・リサーチ・統計の基礎その2
リサーチ/データのリテラシー入門——調査統計の基礎知識
前回の記事で、リサーチ/データリテラシーの5原則として「調査対象者の抽出(サンプリング)」「…