仕事が軌道に乗るまでの間、そして今も、僕はクチコミの恩恵を最大限に受け取りながら、仕事を進めてきました。僕や僕の仕事が認知される過程において、僕が書籍やサイトを通じて直接マーケットに語りかけたことも少しはありますが、それよりもはるかに多くのことが、僕とは直接のつながりを持たない人々によって語られ、話題となりました。僕は自分自身の声を張り上げることなく、人々の間でやりとりされる話題(つまりクチコミ)を通じて、認知度を高め、仕事を軌道に乗せ、今に至っているのです。こうしたクチコミを使ったマーケティングというのは「バイラル・マーケティング」や「バズ・マーケティング」などという言い方で一般によく知られていますが、僕がこの種の手法に関してとても感銘を受けた本の一冊に、セス・ゴーディンによる「バイラルマーケティング」があります。
この本では、冒頭の「はじめに」のところで、いきなり内容の要約が身も蓋もない形で掲示されます。
この本を全部読む時間が無かったら、本書の内容は以下の通りである。
人の邪魔をするマーケティングは、もう、割に合わない。望まれないメッセージを、多くの人に送り、結果、誰かがお金を使ってくれると望む余裕は、もう、ないのだ。かわりに、興味を持った人々が互いにマーケティングするためのインフラと方法を構築したマーケターに、成功が待っている。顧客間のネットワークに火をつけ、あとは邪魔せず横にどいて、顧客同士に話をさせるのだ。
この本が書かれたのは2000年、邦訳が出版されたのが2001年。本書の前提の一部となっている「トップ総取りの法則(ジプフの法則)」は、当時の背景からすると様々なことに当てはまったのかもしれませんが、現在では「ロングテール」が話題になるなど、インターネット上においては少々異なる様相を示しています。このように、多少は狂いの生じてしまった部分もあるにはありますが、本書の内容はまだまだ実用的ですし、マーケターと消費者の関係については、UGCやらCGMといった最近の流れを受けて、本書に語られていたとき以上に、クチコミの重要性が増していると言って良いと思います。
この本で語られているのは、商品やサービスに関して、消費者はマーケターからのメッセージを信用せず、他の消費者からのメッセージを信用するという原則と、消費者間のメッセージのやりとりを効果的にする仕組みを作ることで、アイデアをウイルスのように伝染させる、といった手法です。本書は中堅以上の規模の会社を主な対象として書かれているようですが、中小零細企業やフリーランスの仕事にも十分に応用可能です。
この本を読んでいると、何か、巨大なシステムに投資したり、素晴らしいアイデアを生み出したり、といった大がかりな仕組み作りが必要なのではないかという気になってきますが、実際のところは、それほど大がかりなものでなくても、それなりの成果を得ることはできます。例えば、僕はSEOのサイトを立ち上げる際に、同時にちょっとしたツール群も公開したのですが、これらを僕のサイト上で自由に使えるようにしただけでなく、ユーザーが自分の管理するページにも設置できるようにしておきました。これらのツール群は、僕のサイトにアクセスして使うということだけでもある程度話題になりましたが、その話題を広めるために一役買ったのが、この「ユーザーが自分のサイトにも設置できる」という仕掛けでした。このために僕は大きなトラフィックを処理できるサーバに借り換えなければならなくなりましたが、それくらいの支出(月間数千円の負担増)なら、それがもたらす宣伝効果を考えれば、フリーランスや中小零細企業にとっても安いものです。
僕が採ったこの方法は、本書の中の「スニーザー(アイデアウイルスの仲介者)にバイルス(アイデアウイルス)を広げるツールを与えろ!」に該当するものだと思いますが、たったこれだけのことで、僕自身もびっくりするような効果を上げることができました。少し古い本ですが、「バイラルマーケティング」おすすめです。
ブログ内の関連する記事
広告

