サイト制作から運営までを完全に無料で代行してみる

世の中には「無料ホームページ作成」なるサービスがあります。Googleで軽く調べてみると、かなりの数の事業者がこのモデルで営業している様子。ただしこれ、あくまでも「制作が無料」というだけで、実際には、システム運用費やレンタルサーバ代、といった感じで定期的なコストが発生します。そして制作が無料とはいっても、その多くは CMS で運用されているようで、コンテンツ作りは自分でやる必要がある、というわけです。そうしたわけで、別に何もかもが完全に無料になる、というわけではないのですが、しかし、大まかにいってかなり安めの価格設定がなされているようで、3,000円少々くらいから10,000円前後くらいまでが主流の価格帯のようです。そこで、ある実験をしてみました。

先月のことですが、まさにおあつらえ向きの案件(でも仕事とはいいにくい)が入ってきたので、これを完全に無料で提供してみよう、と思い立ったのです。制作、運用、維持にまつわるすべてを無料にし、かわりに広告を掲載して、その広告収入で運用コストをまかなおう、というわけです。この方法ではサイトに広告を掲載するので、どんなサイトにでも応用できるわけではありません。しかし幸いにも今回の案件は営利目的のものではなかったので、広告の掲載が可能です。というのも、そのサイトというのが、縁あって関わることになった古典芸能の保存会のようなもののサイトなんです。

そんなわけで、ざっくりコスト計算したのが以下。

Wordpressとか使えば Blog ツールもタダやん!」とか、「もっと安いレジストラもあるやん!」とか、「サーバ代を計上しないのは変やろ!」とか、突っ込みどころは満載ですが、まあ趣味のようなものなので勘弁してください。上の計算によると、月間 ¥3,000- 程度の広告収入があれば、最低限のコストはまかなうことができ、僕の持ち出しはゼロになります。で、
して、Amazon アソシエイトも使って、月間 ¥3,000- 程度の広告収入を目指してみよう、というわけです。

そして作ったのがこのサイト「因幡堂狂言会 公式ホームページ」。できる限り手間を押さえるために、デザインもシンプルにまとめ、タブナビゲーションは Free CSS Navigation Menu Designs at exploding-boy.com にあったものを(画像の横幅が足りなかったので少し加工して)そのまま使用させていただき、コンテンツはいろんなところからの流用(もちろん許可は得てですが)で、サクサク仕上げたのがおよそ2週間前。月間 ¥3,000- 程度の広告収入なら、ほどなくペースに乗るだろうと思ってしばらく様子を見ていたのですが、Adsense に重大な誤算があり、実際のところはかなり苦戦しています。というのも、狂言というテーマがマネタイズしにくすぎるせいか、思わしい広告が表示されないんです。やっぱり Adsense は、ページのコンテクストに合った広告が表示されないことにはクリック率が低くて収益にならないだけでなく、いかにも邪魔な感じすらします。かなりいい感じの広告が出ている Amazon とは好対照です。

まあ、今回の「因幡堂狂言会 公式ホームページ」は別に、ボランティアで参加しているので、ペイできなくても問題ないんですが、それでも、これを作りながらいろんなことを考えました。Web 制作の収益モデルの変化というか、僕たちの食いぶちの変化というか、そういうあたりのことです。特に、冒頭で紹介した CMS を使った無料ホームページ作成サービスのようなものは今後どんどん主流になっていって、Web 制作の仕事でお金を取れる部分の中から、ページのコーディングのような仕事を奪っていくだろうことは確実です。

というのも、Blog の普及のおかげで CMS もだんだんと身近なものになってきつつあり、作ったコンテンツ(文章や図版や表など)をネットを通して公表することは、僕たちのクライアントたちにとってもそれほど難しいことではなくなってきました。わざわざ僕の手を借りるまでもなく、クライアント自身が Blog なり何なりの CMS を使ってさっさと自分でやってしまえばいいわけです。Web 制作屋さんが「コンテンツをただ誰でも見れるようにするだけ」で手間賃をもらえる時代は終わりつつあるのかもしれません。実際に、僕のクライアントのサイトも順番に、Movable Type や a-blog(これはかなりいいです)を使ってリニューアルすることで、日々の更新をより素早く、僕の手間賃とかを発生することなく行えるようにしようとしています。

そうなると、僕たち Web 制作業者にとっての収入源の無視できない割合を占めていた運用費用が、ほとんどなくなってしまいます。イニシャルの費用はそれなりに取れるかもしれませんが、その後クライアントとどれだけ長い付き合いになろうと、不要に高いサーバ費用を押しつけたりしない限り、ランニングコストを僕たちの収入に変えることができなくなるわけです。そのあたりでの策も少しは考えているのですが(広告モデル以外で)、このエントリでは触れずにおきます。何にしても、Blog や CMS の普及による環境の変化のおかげで、僕たち Web 制作屋さんたちというのは、もう Dreamweaver とか触ってる場合じゃなくなってきつつある、というのは確かなんじゃないかと思います。

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