SMO(Social Media Optimization)というのは、ごく簡単にいえば、従来「クチコミ」とか「Buzz」のように言われていたものを、より効率的に生み出す手段として、特にインターネット上で行われてきた一連の試みを言い替えたものです。一つ一つのノウハウは特に目新しいものではなく、むしろ枯れた印象すら持つようなものばかりです。では、なぜそうした言い換えが必要だったのかといえば、それは「マーケターがクライアントに説明しやすい」からです。はっきり言えば、SMOなどという用語自体は、ウェブマーケターとかインターネットストラテジストとかいう肩書きで自らを説明しようとする人々が、自分たちの利便性のために生みだしたものと考えて問題ないでしょう。
しかし、そうしたマーケターやストラテジストとかいう人々の間で議論され、ノウハウとして形成されつつある内容はなかなかに面白く、いままで体系的にまとめられたものがなかったために、それ自体が多くの人の興味を惹いています。このエントリでは、現在世界中で議論が進行しているSMOの手法について、ある程度まとまってきているものを抜粋してお伝えしようと思います。SMOについては同時進行的に各所で議論が行われているため、単一のソースから情報を集めてくることは難しくなっていますが、今回のエントリを書くにあたって僕は、次の記事のそれぞれを参考にしました。
- 5 Rules of Social Media Optimization (SMO) – Influential Interactive Marketing
- Rules of Social Media Optimization – Web Strategy by Jeremiah
- Introduction to Social Media Optimization – Pronet Advertising
- Social Media Optimization : 13 Rules of SMO – Search Engine Journal
- New Rules for Social Media Optimization – Online Marketing Blog
2007年1月21日 追記:
このルールについては新しいバージョンを「進化する SMO – SMOの18のルール」で公開しています。
SMOの16のルール
This is Japanese version of “16 rules of SMO”, translated by Motoharu Sumi.
- 1. リンクのしやすさを向上させよう
- これはサイトにとっての最優先事項です。SMOのためには、サイトをリンクしやすいものにする必要があります。ブログの設置は重要な一歩です。他にも、アイデアをホワイトペーパーをまとめるのもいいですし、他の場所にあるコンテンツを使いやすいフォーマットに変換して集めておくだけでもいいでしょう。
- 2. タギングやブックマーキングしやすくしよう
- 「del.icio.usに追加」のようなリンクを設置しておくこともタギングしやすくする一例ですが、それだけではなく、関連するタグのリストを作って提案(自動的にそのタグでサイトを追加できるように)したり、ポピュラーなソーシャルブックマーキングサイトで自分で最初にタグ付けするのもいいでしょう。
- 3. 被リンクに報酬を与えよう
- 被リンクはウェブサイトやブログの成功の指標としてよく使われ、検索結果など総合的なランキングを向上させる最高のものです。被リンクをより多く得るために、リンクすることを簡単にするとともに、明確な報酬を提供すべきです。最近のリンク元ブログのリストを表示すると、それはあなたのサイトにリンクする人々への目に見える報酬となります。
- 4. コンテンツの伝達を促進しよう
- 多くのSEOと違って、SMOはサイトをほとんど変更しません。あなたのコンテンツが携帯できる可能性がある(例えばPDFや動画ファイルや音声ファイルのように)場合、関連するサイトにそれらを登録することによって、それらのコンテンツがより遠くまで伝達されることを促進することになり、その結果、あなたのサイトへの被リンクとなって帰ってくるでしょう。
- 5. マッシュアップを奨励しよう
- みんなで創造していく世界では、コンテンツをよりオープンにし、他者にも利用させるおく方が得策です。YouTubeは、誰でもサイトにビデオを埋め込めるようにするためのコードを提供するというアイデアによって成長を促進させました。また、RSSを通じでコンテンツを提供することで、他者がマッシュアップを作ることが容易になり、トラフィックを増大させるかコンテンツを増強することを可能にします。
- 6. 自分のためにならなくても、他人の情報源になろう
- ユーザーの目的のために役に立つ場所があれば、そこにリンクすることによってユーザーに価値を提供しましょう。正しくリンクすれば、もし競合にリンクしたとしても、それはコミュニティの最初の情報発見者として認められます。これがどうやってSMOに役立つのかといえば、人々はあなたのサイトにリンクして「役立つ」「根本」などといったタグを付け、そこに案内する、といったことが、検索結果における関連性をより一層高めることにつながるからです。
- 7. 役に立つ貴重なユーザーに報酬を与えよう
- あなたのサイトについてしばしば影響力を持ったり、あなたのサイトを擁護したりして、あなたの助けになる常連ユーザーがいますが、彼らの仕事を褒めるか、または評価システムを発展することによって、彼らを高揚させることができます。彼らへの感謝の気持ちを即時に、内緒のメールや短いメッセージで伝えることは、彼らを長く鼓舞します。私は、何人かの人からそれをされましたし、運営しているコミュニティに対して同じようにします。誠実に。これは本質的な意味でのSMOではないかもしれませんが、そうしたことは、コミュニティの最も重要なメンバーをあなたのサイトの近くにとどめておく役に立つでしょう。
- 8. やりとりに参加しよう
- ソーシャルメディアが双方向のものであることを忘れないようにしましょう。コミュニティと会話し続けることによって、あなたはあなたの認知度を高め続け、話題の広がる期間を延長し続けているのです。あなたがそうし続けることによって、しばしば雪だるま式の効果を生みます。参加することが、あなたのメッセージをより広く、速く広めることを助けるのです。
- 9. 観客が誰なのかを知ろう
- ターゲットユーザーを知らいのは困ります。誰もが自分の製品を欲しがるわけではありません。あなたと好みが合うユーザーと、そうでないユーザーが存在するのです。あなたは、あなたのメッセージの内容と、それが誰の好みに合っているのかを知らねばなりません。
- 10. 受けるコンテンツを作ろう
- 自然に社会に受け入れられる種類のコンテンツというものがあります。どんな業界で、どんなしょうもないものを売っているとかいうことが重要なのではなく、きちんと受けるコンテンツを作れる可能性が常にあるということが重要なのです。ウィジェットを作るのか、人々を笑わせるのか、ホワイトペーパーを書くのか、といったことにかかわらず、受けることは可能です。どんな種類のコンテンツを作るべきかを考えてください。
- 11. 正直でいよう
- コミュニティはペテン師を認めません。
- 12. 立場を忘れず、謙虚でいよう
- アルファブロガーや有名評論家のようになって調子に乗ることがあります。そんなときは、道端であなたに手をさしのべた人々を思い出してください。それらの人々への敬意によって、調子に乗った状態から目覚められるでしょう。
- 13. 新しいことを試そう。新鮮なままでいよう
- ソーシャルメディアは分単位で変化しています。あなたの専門分野について、新しい道具や製品、新しい挑戦を維持し続けてください。
- 14. SMO戦略を開発しよう
- 目的を決め、目標を定めましょう。これらの戦術を実行することの結果、得たいと願っている成果がどのようなものであるのかを確認しましょう。それが評判なのか、販売なのか、影響力なのか、信頼性なのか、慈善なのか、トラフィックやページビューなのか、または別の何かなのか。
- 15. SMO戦術選びは賢くやろう
- どんな行動が、求めている結果に対して、どれだけの衝撃をともなって、どれだけの影響力を持つのか、ということを認識しましょう。PlumのHans Peter BrondmoによるSES San Joseでのセッション「Marketing with Social Media」によると、ソーシャルメディアの関係者のうち、1%の人々がコンテンツを作成し、10%がその内容を豊かにし、90%はそれを消費しているといいます。多くの影響がコンテンツの作成者とそれらの再利用者によって支配されているのです。コンテンツを制作することでできることを考えるのと同様に、そのコンテンツの再利用による最も生産的な結果についても、何ができるかということを考えてください。
- 16. SMOをプロセスと習慣の一部にしよう
- いいSEOを目指すのであれば、SMO戦術はベストプラクティスの一部になるべきです。ドキュメント制作のテンプレート段階や、情報配分のの一部分として、SMO戦術を取り込む方法を見つけましょう。ソーシャルブックマーキングを奨励することや、被リンクに報いるようなような細かいことであれば、それを標準的な習慣とすることも可能です。
何だかんだいっても、まだまだ「ソーシャルメディア」なる概念は一般化しているとは言い難いものです。ソーシャルメディアに最適化されたサイトを運用することで、サイトに膨大なトラフィックがもたらされ、サイトや記事の知名度を一気に引き上げることができるとしても、そして、そのことを今このエントリを読んでいるあなたが直感的に知っていたとしても、そのことと、それを「クライアントが欲しがる」ということは別次元の話です。例えば、ほんの3〜4年前、クライアントが検索の威力を知らなかった頃、僕たちはSEOの魅力をクライアントたちに伝えるためにどれほどの努力を要したでしょう? そして今、クライアントたちはSEOやキーワード広告に一体どれくらいの予算を割いているでしょう?
そして、3〜4年前であれば、最も多くのアクセスを集めることのできる媒体は、疑う余地もなくWeb検索でした。もちろん今もWeb検索は多くのトラフィックを集めます。しかし、今やトラフィックの源泉はWeb検索だけではなくなりました。ブログやSNSやソーシャルブックマークなどといった「ソーシャルメディア」もまた、Web検索と同様に、または分野によってはそれ以上に、膨大なトラフィックを生み出しているのです。しかし現時点での問題は、クライアントがソーシャルメディアを知らないということであり、僕たちがそれを知らしめるための効果的な手段をもっていないということです。しかし、ソーシャルメディアが今以上に一般化し、今以上の威力を発揮するようになっていくにつれて、それは無視できないものになっていくでしょう。
そもそも、「ソーシャルメディア」とは何でしょうか? 僕は現時点では、ソーシャルメディアを次のようなものとして捉えています。つまり、「誰もが情報の発信者になりうるだけでなく、そうした人々を組織化し、個々の発信者たちが情報を効率的に運用できるツールや環境」であり、具体的には、ブログや、ポッドキャスティングや、掲示板や、SNSなどを指します。こうした環境は最近生まれたものではありませんが、そこに参加する人々の数は急激に増加しており、参加する人の数が増えれば増えるほど、ソーシャルメディアはメディアとしてのパワーを増大させます。ソーシャルメディアにとって、今はまだ素地を固めつつある、といった段階にすぎないでしょうが、これからしばらくもしないうちに、情報の流れをガラッと変えてしまうものになるでしょう。かつてwwwが生まれ、かなりの時間が経ってからそれが人々のものになったように。またはwwwの登場後、かなりの時間が経ってからWeb検索が人々のものになったように。
こうした場所では、クチコミやBuzzは猛烈な勢いで人々の間を駆けめぐります。この性質は従来のメディア、例えばマスメディアやポータル型のメディアとは明らかに異なります。今後を楽しみにしつつ、見守っていきたいものです。
