「とにかくアウトプットしろ」- CSS Nite in Osaka 後録(2/3)

この日の1つ目のテーマは「とにかくアウトプットしろ」ということです。僕たちはWeb制作業者として、セールストークやWebの現状をより知ってもらうため、といった理由で、クライアントに以下のような話をします。

  • インターネットは双方向のメディアです。誰もが情報の発信者であり、受信者です。ですから、そこをうまく使って、自分とこの情報を誰か第三者にマッシュアップしてもらえるように工夫したり、よりたくさんの人に伝えてもらえるようにする必要があります
  • ウェブで重要なのは情報のシェアリング、CGMです。いい情報があったら、誰でも、すぐに公開してシェアできるのが今の世の中です
  • ウェブサイトですべきことは、サイトとユーザーとのコミュニケーションです。情報の垂れ流しや一方通行ではいけません
  • 情報はただ自分のところに抱え込むのではなく、アウトプットしないことには、どこにも誰にも伝わりません。ですからどんどんアウトプットするようにしましょう

しかし、そんな偉そうなことを言っているWeb制作業者(会社であれ、フリーランスであれ、制作会社の会社員であれ関係なく)は、みんなそれを実践できているのか? 自分でやりもせずにそんな偉そうなことが言えるのか? という煽りで、1つ目のテーマは始まりました。

僕がまずしたことは、会場内で挙手を求めることでした。質問は「この中で、ブログをきちんと更新し続けているという人はどれだけいますか?」というものです。会場内では、約3割程度の挙手がありました。予想通り、非常に少ないです。僕は「それやったらあんまり偉そうなことも言えませんわな」と続け、次の煽り「いいからアウトプットしろ」へと進んでいきます。この内容は、言い替えれば「いいからブログを書け」ということです。

ブログを続けられない理由としてよく聞かれるのは、大きく分けて以下の2つの理由によります。

  • ブログに書くことがない
  • ブログを書く時間がない

僕は会場内の人々の多くが上記の2つの理由でブログが書けないでいる、ということの確認をとった上で、さらに続けました。その内容とは以下のようなものです。実際の講演では即興ですのでここまでまとまってはいませんでしたが、僕が言わんとしたところは以下のようなものです。

考える技術・書く技術まず前提として、書くこととは、想定する読者に対して自分の考えをわかりやすく提示する作業です(参考: 「考える技術・書く技術—問題解決力を伸ばすピラミッド原則バーバラ・ミント著)。「書くこと」の中には、主題となる考えをまとめ、それを補完する資料を集め、読者の質問に答えるかたちでロジックを練り、それらを効果的な構成とわかりやすい語彙を駆使してメッセージを伝えていくことなどを含むます。つまり、これらの作業の集積であるところの「書く」ということは、そのまま「考える」という作業でもあるのです。「考える」ということと「書く」ということは完全ではないにしろイコールなのです。

翻って、「書くことがない」と言う人。その人たちは、恥ずかしげもなく「考えることがない」と言っているのも同じことです。同様に、「書く時間がない」と言っている人も、「考える時間がない」と言っているのと同じことです。仮にもプロフェッショナルであり、社会人であり、大人であり、人間であるなら、「考えることがない」とか「考える時間がない」などということはあってはならないことです。社会にとって、考えないプロフェッショナル、考えない社会人、考えない大人、考えない人間が必要だと思いますか? 僕たちは、何にも優先して「ものを考える」べきですし、そのための時間がないなどというのは人生における優先順位を錯誤していると断言してもよいでしょう。

この言い方は少し厳しいかもしれません。また、偉そうにこんなことを言っている僕自身、ブログを書き始めてからまだ1年も経っていません(一応いいわけをすると、その前に数年間は紙媒体と個人サイトで情報発信を続けてきましたが)。ですが、ブログを書き続けることには大きな役割があるのです。そして、中でもよくいわれるブログの役割のようなものは以下のようなものですが、しかし、僕は以下の各項のようなブログの役割はWeb制作者たちにとっては基本というかスタートラインにすぎず、それ以上を、目指すべきだと考えています。

  • インターネットが双方向性を持ったメディアであることを知る
  • 情報(クチコミを含め)がどのように伝播していくのか、その仕組みを実感する
  • それまで非公開だった情報を公開し、インターネット社会全体でシェアすることの威力と重要性を知る
  • Web上に自分のオピニオンを表明することによって、他者のオピニオンに触れる機会が向上し、その結果得られる多面的な志向を自分のものにする
  • たくさんの情報に触れても、それをインプットするだけではそれ以上の発展性はない。みずからもアウトプットしていくことによって、自分の考えを整理し、伝える

上の各項はすべて、僕たちWeb制作者にとってはスタートラインにすぎません。できて当然。できなければクライアントに偉そうなことは言えません。それを踏まえた上で、次に僕たちが目指すべきことは、そうして得られたことを個人のエンパワーメントに活かすということです。ブログを続けるということは、それが実名のものであれ、固定のハンドルネームによる匿名のものであれ、ブロガーの思考の記録となります。それは、今後のキャリアの形成にとって何よりのポートフォリオになるでしょう。

パーソナル・ブランディングキャリア形成にブログが有効だ、というのは、社長やフリーランスの方々にとってはある意味で非常にわかりやすいことかと思います。なぜならそれらの人々は、もともとパーソナルブランディングについてもある程度高い意識を持っているからです。しかし、僕がより重要だと思うのは、現在Web制作会社にサラリーマンとして雇われている制作者たちについてです。一生その会社に奉公し続け、一生をその会社に捧げるようなつもりで働いているというWeb制作者は稀でしょう。彼らは、そう遠くない将来に転職や独立を考えているはずです。そうした人々にとって、ブログはどれだけの財産になるでしょうか? ブログとは、その人の思考の蓄積であり、情報感度の表出であり、歴史であり、人柄の表出であり、文章構成力や日本語での表現力の試金石であり、Web上でのコミュニケーションスキルを表しています。これ以上のポートフォリオは存在しないでしょう。

さて、僕が CSS Nite in Osaka で話した1つめのテーマはここまでです。次は2つめのテーマ「地方在住のメリットを活かせ」に移ります。こちらは主に地方在住のWeb制作者に向けたメッセージですが、場合によっては首都圏在住の方々にもいくらかの示唆を与えるかもしれません。ご興味があれば、ご一読をお願いします。

考える技術・書く技術パーソナル・ブランディング

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